◆選手会長としての覚悟

 開幕時期が見えない時期、田中はこう話していた。

「もちろん調整という面で考えると難しいことではありますけど、これまでしっかりキャンプもやってきています。そこで『決められたところでしっかりとしたパフォーマンスを見せる』というのはプロとして当たり前のことだと思っていますし、やらなきゃいけないことですからね。調整が難しいと言っている場合ではないと思います」

 開幕が見えない状況下であっても、田中は試行錯誤を重ねながらできる限りの調整を続けた。当然ながら誰もが経験したことがない未曾有の事態。それでも弱音を吐くことなく、日々の困難な状況に立ち向かいながら、開幕を迎えた。

「(個人としては)まずはシーズンを通してケガなく、自分の仕事を全うしたいと思っています。数字的な目標は特に設定はしていません。もちろん『もう一度フルイニング出場をしたい』という思いを少しは持っていましたけど、これまでもそれをメインに考えながらプレーをしていたわけではありません。レギュラーとして試合に出続けるのが当たり前だと思ってやってきましたし、そうできるようにしたいです」

 開幕から自らの仕事を全うし、7月2日現在、チームでは唯一のフル出場を続ける田中。選手会長、チームリーダーとして黙々と復活ロードを歩み続ける。