思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。

 今回は、カープ選手たちの自主トレについて、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

お揃いのウエアを着た矢野雅哉、菊池涼介、前川誠太(イラスト:オギリマサホ)

 2024年、新たな年がスタートした。しかし多くのプロ野球ファンは、各球団のキャンプが始まる2月1日を「新たな一年の始まり」と捉えているのではないだろうか。その「球春」が到来するまで、1月中のもっぱらの楽しみは各選手の自主トレ情報となる。

 野球協約に基づき、12月1日から翌年1月31日までの間は、球団主導の練習ができないこととなっている。かわりに選手達の自由意志に基づくトレーニング、自主トレがこの期間に行われるのだ。自主トレの方法は選手によってさまざまで、カープの選手にもいろいろいなタイプが見られる。ここからその傾向を見ていこう。

【故郷タイプ】
昨年の契約更改の際に、地元である兵庫県の秘境に山籠もりして自主トレを行うと明言した野間峻祥や、出身の福山で自主トレを行った上本崇司らがこれにあたる。知り合いが多くリラックスできることや、地元のファンに練習を見てもらえることなど、故郷での自主トレにはさまざまなメリットがあるようだ(注1)。

【旧所属団体タイプ】
これまでたびたび、母校の明治大で自主トレを行ってきた野村祐輔や、出身のトヨタ自動車の練習拠点であるトヨタスポーツセンターで自主トレを行った栗林良吏らがこのタイプだろうか。こちらも馴染みのある施設で、心置きなく練習に打ち込める利点がありそうだ。

【地域振興タイプ】
元カープ投手で、今は打撃投手を務める高橋英樹の出身地・喜界島(髙橋の入団時には喜界島初のプロ野球選手と話題になったものだが、その話はまた改めて)で自主トレを行ったのが田中広輔だ。田中と喜界島との間に特に繋がりはなさそうだが、温暖な気候の中での練習に加え、地元の少年野球の子どもたちに指導を行う姿も報じられた。もしかするとこの中から将来のプロ野球選手が誕生するかもしれないと思うと、楽しみである。

【団体自主トレ(チーム内)】
曽根海成、中村貴浩、持丸泰輝、田村俊介といったカープの若手野手を引き連れて、故郷の鹿児島県で自主トレを行ったのがチーム最年長の松山竜平である。一番若い田村とは実に18歳差があるが、年代を超えて結びつきを強めるのは、チームにとってもいい効果をもたらしそうだ。

 また、沖縄で行われた鈴木誠也(現カブス)の自主トレには、髙木翔斗と内田湘大が参加した。今年3年目になる髙木と2年目の内田は、カープ時代の鈴木とともにプレーする機会はほぼなかったが、メジャーリーガーの練習から得られるものは多かったのではないだろうか。

【団体自主トレ(複数球団)】
昔はチームを越えた交流はほぼ見られなかったが、近年では出身校が同じであるとか、日本代表でともに戦ったなどのつながりにより、他球団の選手とともに自主トレを行う選手も多い。カープで言えば、村上宗隆(ヤクルト)や熊谷敬宥(阪神)らと静岡で自主トレを行った菊地涼介(カープからは矢野雅哉、前川誠太が参加)や、下田で五十幡亮汰(日本ハム)、武藤敦貴・澤野聖悠(楽天)らと自主トレを行った秋山翔吾(カープからは宇草孔基、中村健人が参加)などがこれにあたる。

 「敵同士が仲良く自主トレをするなんて」と批判する声もあるが、切磋琢磨してお互いに技術を高めていけるのであれば、それは喜ばしいことなのではないかと思う。複数球団混合の自主トレは、たとえば大盛穂が参加した徳之島での近藤健介(ソフトバンク)の自主トレで、元気そうな西川龍馬(現・オリックス)の姿を見てしみじみできたりもするという利点もある。

 それぞれの自主トレをこなしてきた選手たちが、2月からのキャンプでどのような動きを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

  

注1:読売新聞オンライン・2024年1月24日