◆大きな手応えを感じた右中間へのホームラン

 そして迎えた6月19日、DeNAとの開幕戦で堂林は「7番・一塁」でスタメン出場を果たし、2014年以来6年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った。

「素直にうれしかったです。準備期間も長かったですし『やることはやってきた』と思って、自信を持って臨みました。試合前は緊張はありましたけど、試合にはすっと入れた感じはありました」

 開幕戦は4打数無安打に終わり結果を残せなかったが、佐々岡監督は、翌日の相手先発が右腕のピープルズにも関わらず、堂林を再び「7番・一塁」でスタメン起用した。

「翌日もスタメンで使ってもらい、“監督の機会に応えたい”という一心で、無我夢中でやっていました」

 堂林はこの試合、5打数4安打の大暴れで開幕2連勝に貢献。結果を残した背番号7に、佐々岡監督は以降もチャンスを与え、指揮官の期待に堂林はバットで応え続けた。

 6月25日の巨人戦(東京ドーム)で、2017年5月31日以来、1121日ぶりの一発を放つと、6月28日の中日戦(ナゴヤドーム)で右中間へ2号2ラン。7月8日のDeNA戦(マツダスタジアム)では、劇的な3号逆転満塁弾をバックスクリーンに叩き込んだ。いずれも課題としていた右投手からの一発だったというところに、堂林の成長の跡がうかがえる。

 特に、ナゴヤドームで放った今季2本目となる右中間へのアーチは、堂林自身、大きな手応えを感じた一打だった。

「あの打席は1死一塁でランナーは松山さん。フルカウントに追い込まれていて、走者はスタートを切るサインだったので『最悪2死二塁という場面をつくれるように』という意識で入った場面でした。打ったのは内角のボール。自分の特徴である右方向にしっかりと打ち返すことができました」

 開幕から1ヶ月が経過しても堂林の勢いは衰えず、打率は4割前後でリーグトップの高打率をキープ。昨年までの5年間、一軍と二軍を行き来きしていた男は、試合を重ねるごとに、カープ打線になくてはならない存在となっていた。(#6に続く)