1年目からの活躍が期待される即戦力候補から、荒削りなダイヤの原石まで、2020年ドラフトでは全7名の選手がカープに新たに加わった。今回は、即戦力として期待されるドラフト1位・栗林良吏投手の独占インタビューを紹介。自身のアピールポイント、憧れのプロ野球への思いなどを聞いた。

栗林良吏投手が背負うことになった背番号20は、かつて北別府学、永川勝浩など時代を代表する投手たちが背負ってきた。

◆意識がガラリと変わった社会人での2年間

─大学4年時はドラフトで指名されませんでした。当時はどういった心境だったのでしょうか?

「プロに入れなければ、トヨタで野球をするのは決まっていたので、もうプロ野球選手は諦めて、トヨタで一生野球ができたら良いなと思っていました」

─もう一度、プロになりたいという思いが芽生えたのはいつ頃でしょうか?

「同期入社のなかに、僕と同じようにドラフト指名漏れで入ってきた選手が何人かいました。その選手達は、もう一度プロを目指すという強い気持ちで野球と向き合っており、彼らから刺激を受けるうちに、チャンスがあるならプロに行きたいという気持ちに変わってきました」

 

─2年間の社会人生活で成長したと思うことを教えてください。

「一番は人間的に成長できたと思っています。大学まではお金を払って野球をやっていましたが、社会人ではお金をいただいて、社員として野球をやらせてもらっています。支えてくれる会社のために、社員の方々のために、地域のためにと思い、練習や試合に臨むことで、気持ちの在り方が変わっていきました。社会人野球を経験させてもらったことで、野球への取り組み方が一番変わりましたね」

─心技体でいくと、“心”が一番成長したということでしょうか?

「まさにそうですね。体のサイズはそこまで大きく変わっていません。技術面で変わったのは変化球です。大学ではスライダーが得意でしたが、社会人ではあえて投げるのをやめて、得意ではなかったカーブを習得したことで、直球とフォークがより生きてきました」

─今年はコロナの影響で調整やモチベーション維持が難しかったのではないかと思います。先行き不透明だった時期は野球とどのように向き合っておられましたか?

「緊急事態宣言が出てからは、グラウンドは立ち入り禁止で、約1カ月の間、ずっと仕事をしていました。野球の視点で考えるとマイナスかもしれませんが、逆にこの期間があったことで、あらためて働くことの大変さを学び、同時に野球ができる喜びを知りました。今まで野球をやってこれたのは当たり前じゃなかったと感じましたし、もし野球を引退した時、トヨタ自動車という大企業で、僕が会社に貢献できるかと考えたら、業務の部分ではなかなか貢献できそうにないなと感じました。そういう面でも、野球に力を入れて、プロに入って会社のためにも、応援してくださる方々のためにも活躍したいと思うようになりました」