1年目から活躍が期待される即戦力候補から、荒削りなダイヤの原石まで、2020年ドラフトでカープから指名された全7選手が大野寮へ入寮した。この企画では、かつてそれぞれの目標を掲げ、大野寮の門をくぐった主力選手の入寮の様子を振り返る。今回は、カープのエースに成長し、今年から投手陣のキャプテンに任命された大瀬良大地をピックアップ!

恩師から贈られた「木鶏」の言葉と共に大野寮に入寮した大瀬良大地投手。プロ1年目から2桁勝利を挙げる活躍で、球団史上9人目の新人王に輝いた。

◆恩師から贈られた言葉を胸にルーキーイヤーから活躍

 2014年シーズン、九州共立大学からドラフト1位で入団した大瀬良大地。期待の即戦力右腕には、前田健太、野村祐輔などカープ投手陣の柱に成長した選手が過ごした『出世部屋』と言われている104号室が割り当てられた。

「104号室は1と4が入っていて、背番号も『14』だし縁があるのかな。カープの柱となれるように気を引き締めてやっていきたいです」

 大瀬良が門出の日に持参したのは、大学野球部の仲里清監督から贈られた言葉のプレゼント。仲里監督が色紙に刻んだ「木鶏」の言葉を胸に、プロでの生活をスタートした。

 「木鶏(もっけい)」とは、中国の故事に由来した言葉で、『何にも動じない最強の闘鶏』のたとえ。

 大学時代、恩師から何度も何度もかけられた言葉は、大瀬良の心技体に染み付き、目指すべき選手像となっていた。

 入寮翌日から始まった新人合同自主トレーニングでは、トレーナーが「例年のランニングは僕が引っ張る形だったけど、今年は引っ張られた」と話すほど、大瀬良をはじめとした新入団選手が率先して先頭を走りリード。初めて経験するトレーニングでもキレのある動きをみせた。

 キャンプ・オープン戦と順調な調整を重ねた大瀬良は、開幕ローテーションに抜擢されると、4月16日の阪神戦(マツダスタジアム)でプロ初勝利。以降も先発ローテを外れることなく着実に白星を重ね、9月にはプロ初完封勝利も記録。終わってみれば10勝を挙げる活躍で、球団史上9人目となる新人王を獲得した。

 恩師から贈られた「木鶏」の言葉にふさわしい活躍をみせ、カープのエースとしての確かな一歩を刻んだルーキーイヤーとなった。