年が明け、19年の選手陣容も決まりつつあるサンフレッチェですが、今回のオフもシーズンが楽しみになるような補強を見せてくれました。数々の期待したい選手がいる中で、特に私が期待しているのがレンタル移籍から復帰する野津田です。サンフレッチェ広島のジュニアユース、ユースを経てサンフレッチェ広島に入団しましたが、思うような結果を残せず16年に新潟にレンタル移籍となりました。しかし移籍先でたくましく成長し、サンフレッチェへと戻ってきてくれました。

 また既存の選手で19年シーズンの鍵を握る選手と見ているのは、川辺です。野津田以上にレンタル移籍先で成長を遂げ、広島に帰ってきた選手ですが、昨季は開幕前に周囲が抱いていた期待からすれば残念なシーズンになってしまったと言わざるを得ません。本人としても持っている力を出し切れない不甲斐なさを感じ、悔しいシーズンとなったことでしょう。開幕スタメンに抜擢されるなど、チャンスはもらっていましたが、これまで経験したことがないサイドのポジションに苦労したようでしたが、川辺にとっては今季が勝負の年となるでしょうし、試合ではキャプテンマークを巻くぐらいの気概でシーズンを戦ってほしいと思っています。先に挙げた野津田と共に、川辺が中盤にはまってくれば、年齢的な部分を見ても未来のチームにとっても非常に大きなことです。

 昨季限りで現役を引退した森﨑和幸は森﨑浩司とともに“ツインズ”としてまさにチームの顔とも言える存在でした。現在もチームには青山、佐々木という日本代表に選ばれるだけの実力を持った選手はいますが、20代中盤の『広島の顔』と呼べるだけの選手はいない状況です。野津田、川辺の2選手が活躍すれば、地元広島出身の選手ですしメディアでの取り上げ方もこれまでとは違ったものになるはずです。川辺は持ち前の推進力、そして野津田は独特のボールタッチや、左足から繰り出される鋭いシュートを武器に、一気にチームの中心選手へと名乗りをあげてほしいと思います。


(広島アスリートマガジン2019年2月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 吉田安孝(よしだ やすたか)
1966年11月22日生。広島県出身。元サンフレッチェDF。現在は広島テレビ「進め! スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。