◆若手とベテランのつなぎ役に徹し悲願のリーグ制覇に貢献

【小窪哲也(選手会長:2016~2017年)】
何でも言い合えるようなチームにしたい
(広島アスリートマガジン 2016年4月号)

梵英心選手から選手会長を受け継いだ小窪哲也選手。持ち前のリーダーシップを生かし、若手とベテランをつなぐ潤滑油となり、チームをまとめた。

 25年ぶりのリーグ制覇を果たした2016年。この年、梵英心から選手会長を引き継いだのがプロ9年目の小窪哲也だ。小窪は、高校、大学とキャプテンを務めてきたが、プロでの選手会長は初。それだけに、当時は抱える不安も大きかった。

「キャプテン経験はありますが、学生時代とはまったく違います。プロ野球選手は個人事業主ですからね。でも、みんな根本は勝ちたいと思っていますし、昨季悔しい思いをしたのは同じです」

 前年の2015年、黒田博樹と新井貴浩が同時にカープに復帰し、優勝の機運が高まっていたものの、打線が低迷。また投打のベテランがチームに復帰したとはいえ、チームとしての団結力は乏しく、そのことは小窪自身が課題に感じていたことでもあった。

「もともと個人の思いを何でも言い合えるようなチームにしたいと思っていましたし、もっと野手から投手に、反対に投手から野手に意見をどんどん言っていいんじゃないかと思っています」

 2015年オフの由布院キャンプで投手陣を含むチームメートと積極的に意見交換を行った小窪は、その経験を選手会長としてのチームづくりにも生かしていった。

「春の日南キャンプの前日に投手キャプテンの福井、そして會澤、菊池、丸を集めて話し合いを行ったんです。そこで『おかしな雰囲気になったら、まず選手同士で意見を出し合っていこう』ということを確認しあったんです」

 そして迎えた2016年シーズン、団結力を増したチームは投打の歯車ががっちりと噛み合いリーグ優勝を達成。若手とベテランをつなぐ潤滑油として機能した小窪の存在は、25年ぶりの悲願達成を成し遂げたチームの大きなポイントとなった。