新型コロナウイルスの終息が未だ見えないなか、プロ野球の春季キャンプが無事に終了した。ここでは不定期ながら、コロナ禍に揺れた“1年前”のカープを振り返ってみたい。

無観客で開催されたオープン戦の様子。普段は聞こえない音が球場内にこだました。

 昨年は春季キャンプに合わせるように、世間で日毎に新型コロナウイルスの報道が増え始めた。キャンプインの段階ではまだマスクの着用は一般的ではなかったが、徐々に店頭からマスクが品薄になる現象も起こり始めていた。球界にもコロナ禍は飛び火し、2月25日には巨人が他球団に先駆けて2月29日と3月1日のオープン戦(対ヤクルト)の無観客試合を発表した。

 翌26日には臨時の12球団代表者会議が行われ、未消化だった全オープン戦の無観客試合が決定。2月29日から3月15日までに予定されていた残りのオープン戦全72試合を無観客で実施することを発表した(春季教育リーグも無観客開催)。

 28日にはカープが感染防止に向けた対応を発表。握手、サイン、写真撮影、プレゼント受け渡しなどの選手とファンとの接触が禁止に。チケット購入時などマツダスタジアムに来場する際には手洗い、うがい、アルコール消毒、マスク着用の徹底。球団職員、スタッフにおいても37.5度以上の発熱、強い倦怠感、長引く喉の痛み、咳、息苦しさがある場合には出社させない方針が示された。

 29日の中日とのオープン戦ではカープ球団が独自に担当記者に検温を実施し、球場正面玄関で健康チェックシートへの熱の有無の記入を求めた。3月1日には中日戦で森下暢仁が3回を1安打無失点に抑える快投を見せ開幕ローテ入りに向け機運が高まったが、例年ほどはファンも野球に集中できない状況となっていた。

 月をまたいだ3月3日には、NPBとJリーグが合同で設置した『新型コロナウイルス対策連絡会議』の第1回が開催された。この時点では感染予防対策などの協議がメインだったが、3月20日に予定されていた開幕戦の延期も日を追うごとに現実味を帯びるようになっていた。