河田雄祐ヘッドコーチが今季の鍵を握る存在として挙げているのが、田中広輔、菊池涼介の同学年コンビだ。リーグ3連覇当時は不動の1、2番としてチームを牽引。ここでは選手会長・田中の足取りを振り返りつつ、まずはタナキクコンビ結成までの流れを振り返る。

即戦力内野手として入団。1年目からショートに定着した田中広輔選手。

 社会人ナンバーワン遊撃手の評価を受けカープに入団した田中は、ルーキーイヤーから即戦力として躍動した。オープン戦から一軍に定着すると、そのまま開幕一軍の切符も手中に。そして開幕カード3戦目には、早くも『8番・サード』でプロ初のスタメン出場を果たしている。

 「レギュラー争いに関しては自分がやるべきことをずっと続けられるか。変に意識して打った、打たない、エラーした、エラーしていないで一喜一憂するんじゃなく、常に1年を通じてコンスタントに結果を出せれば、どこかでチャンスは巡ってくるのかなと思っています。虎視眈々と狙っていきますよ」(『広島アスリートマガジン』2014年4月号)

 その言葉通り開幕直後は不振に悩まされたものの、5月以降尻上がりに調子を上げた田中は、夏場から梵英心と入れ替わる形で本職のショートに定着。1年目から一軍に定着を果たし、即戦力として存在感を示した。

 2年目の2015年4月1日以降はショートとして完全固定され、シーズン終了までフル出場。「まだまだ危機感を感じている」という言葉とは裏腹に、攻守に躍動を見せ、ここから田中の連続フルイニング出場記録が始まった。

 ただ2015年の時点では“タナキクマル”の完全固定は見られず、緒方孝市前監督は『鈴木誠也、菊池、丸佳浩』『野間峻祥、菊池、丸』『丸、菊池、ロサリオ』『丸、菊池、シアーホルツ』……など、さまざまなラインナップを選択。結果、この年のチーム打率は.246(リーグ5位)とふるわず、チームも2年ぶりのBクラスでフィニッシュした。

【今月の編集部おススメ記事】
◆1試合になんと6盗塁。カープのいぶし銀がプロ野球タイ記録を達成
◆緒方孝市前監督が明かす壮絶な5年間「1日タバコ60本、コーヒー20杯という監督業の裏側」
◆なぜ124は出世番号と呼ばれるようになったのか。受け継がれるロマン溢れるナンバー
◆元指揮官が語る監督業の裏側「“寡黙”は監督として創り上げた性格だった」
◆“大乱闘”の当事者が回顧。旧広島市民球場の思い出