◆チーム内の競争は不可欠

 ただ打撃の方では、良い要素がたくさんありました。なかでも注目したいのが坂倉の存在です。キャンプ中に故障しましたが、しっかりと開幕に間に合わせてきました。初戦に代打で起用されて、すぐにヒットで結果を残しました。そして2戦目はスタメン出場を果たし、2安打1打点。チームの勝利に貢献しました。

 初戦にヒットが出なかった會澤は、いくら正捕手とはいえ「今度は俺も打たないと」と、ものすごく刺激になったと思います。実際、3戦目にスタメン出場すると、満額回答とも言える3安打。チーム内にライバルがいることでの相乗効果が見えましたよね。

 ベテランが息の長い活躍をするには、若手からの刺激が大事です。ポジションが安泰という状況になると、だんだん年齢とともに技術も体力も落ちていってしまいます。いくらベテランといっても向上心を持って、「まだまだ誰にも負けない」という気持ちを常に持っていないとダメなんです。

 坂倉だけではなく、石原も第3戦でしっかりアピールしていました。プロ初出場が0対0の同点で迎えた9回の守備。本人の中では相当な緊張感があったと思います。ただ、しっかり中日の攻撃を0点に抑え、その裏も球をきっちりと見極めて四球で出塁。なかなかのもんですよ。

 捕手というポジションは先輩を見て育ちますから、特徴が似てきがちなんですけど、カープの場合は4人ともそれぞれタイプが違います。4人とも個性があるので、見ていて楽しいですよね。強いチームになっていくには、こういったチーム内の競争が本当に必要不可欠ですから、今後も捕手のポジション争いは注目して見ていきたいですね。