4月9日、中村祐太と松山竜平が出場選手登録を抹消されたことを受け、羽月隆太郎と藤井黎來が一軍に合流した。

空振りが取れる落差のあるフォークが持ち味の藤井黎來投手。

 藤井は今季もクローザーとして4試合に登板し、2セーブ、防御率0.00と安定の数字をマーク。昨季の9月に支配下登録を勝ち取った右腕が、開幕前まで課題として指摘されることが多かったリリーフ陣の中で日毎に存在感を増している。

 ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。1、2年目は体づくりを中心として過ごし、3年目の昨季になってようやく登板試合数が増加。育成という立場もあり、昨シーズン中には「本当に今年が最後のシーズンだという危機感を持って毎日投げていました」と悲壮感の漂うコメントを残している。

 育成契約は原則として3年契約。崖っぷちに追い込まれたシーズンだったが、念願の支配下登録を勝ち取り、そのまま即一軍昇格も果たしてみせた。

「育成契約の選手にとっては3年がひとつの区切りですし、そこで支配下登録をしていただけたのは少し安心できました。(昨年10月8日の一軍初登板は)歓声がすごかったので、めちゃくちゃ緊張しました。でも抑えることができてよかったです。直球でファールが取れましたし、フォークでも空振りを取ることもできました。自分の球が、一軍で少しは通用したというのは収穫です」

 昨年はわずか3試合の登板に終わったが、今季は主力どころに故障がない中での昇格となった。藤井の武器は140キロ中盤の力強いストレートと落差のあるフォーク。勝負所で三振を狙える決め球を持っているだけに、今季もリリーフとしての活躍が期待されている。