メジャー4年目の鈴木誠也が好調だ。今季はここまで26本塁打、81打点をマーク。7月22日には4シーズン連続となる100安打を達成し、首位争いを演じるカブスの中心として躍動している。

 しかし、そのプロ野球人生は、決して平坦なものではなかった。セ・リーグ連覇がかかった2017年には、8月後半に足首を骨折。手術を受け、長期の離脱を余儀なくされた。ここでは、その翌年、2018年に行った独占インタビューを再編集してお届けする。リハビリを乗り越え、初の『開幕4番』でスタートしたシーズン。鈴木が口にしたのは、ケガへの恐怖と、優勝への強い思いだった。

この翌年、鈴木の背番号は『51』から『1』へと変更になる

◆故障から這い上がり貢献したリーグ連覇

─2018年は苦しいリハビリを乗り越え、初の開幕4番・スタメンスタートとなりました。

 「開幕4番ということよりも、いざ開幕を迎えるまでに『本当に間に合うのかな』という気持ちがずっとあったので、開幕に間に合ったうれしさがまずありましたし、『開幕戦は出られないかもしれない』と思っていたので、4番よりも、単純にスタメンで出られた事実がうれしいという感覚でした。でもホッとしてしまったのか、すぐに離脱してしまいましたけどね(苦笑)」

─開幕戦の第一打席はスタンドからの大歓声の中で迎えました。ファンのみなさんの声援に感じるものはありましたか?

 「そこは意外に冷静だったので、ファンのみなさんの声援も聞こえていました。改めて、本当にありがたいことだなと思いましたね」

─2017年8月23日のDeNA戦で負傷し、手術を受けることになりました。今年の開幕戦はそれ以来の公式戦でしたが、長く感じましたか?

 「リハビリ中はとにかく1日1日良くしたい気持ちだけでした。朝起きてみてもまだ良くなってない、良くなってきたと思ったら次の日はまだ痛みが残っているとか、その繰り返しだったので……開幕までは時間が足りず、本当に短く感じましたね」

─相当な不安を抱えた上でシーズンを迎えたのですね。

 「そうですね。『自分のプレーが今はできないんじゃないか』という不安の中からスタートして、『とにかく同じケガはしたくない』とか、そのケガをかばって『他の箇所を痛めたくない』という思いが強すぎて、多少なりとも序盤の試合はプレーに影響が出てしまっていたのかなと思います」

─改めて、ケガをしてしまったことから学んだことはあるでしょうか?

 「正直な気持ちを言えば、しんどかったですね。『ケガなんてもういいわ』って(苦笑)。4月に関しては離脱期間も短かったので、本当に自分のやるべきことをやれていましたし、そこで考え方が変わるかと言えば、特にそういうことはなかったです」

─一軍に復帰後は徐々に調子も上がっているように感じますが、ケガに対する恐怖感はある中でのプレーなのでしょうか?

 「正直、ケガを恐れていたら良いプレーもできないですし、『昨年のあのケガは自分の運命なんだ』と思って、切り替えてプレーしていきたいです。怖さもありますが、そこに勝たないといけませんし、敵は自分だと思うので、そこにどんどん勝てていければ、自ずと良い結果はついてくると思っています。特に人のことを気にすることなく、自分のことに集中してやっていきたいです」

─今季、自身の打撃内容に関してはどのような印象を持っていますか?

 「あまり良くはないですね……。特に良いときの感覚を求めているわけではないんですが、迷いがあるというか……。やはり相手投手は僕にスイングをさせないように投げてきますし、それに対して『初球はボールから入ってくるんだろうな』という考えでいくと、ポンとストライクを取られてしまって、そこから焦ってしまうという感じの打席が続いていました。本当になかなか自分のスイングができないという状況ではあります。でも、その対処法はある程度頭に入っています。まだまだ試合はありますし、修正の余地はあると思います。これから、しっかりと立て直していきたいと思っています」

─復帰されてから、両足の幅を狭めるなど打撃フォームを模索されていました。

 「それに関しては今に始まったことではありませんからね。プロに入ったときから、もともと試合中にいきなりタイミングの取り方を変えたりしていましたし、それで出来てしまうこともあるので、そこは別に気にしている部分ではありませんね」

─今季も強力打線の中で4番として出場が続いています。昨季4番を経験したことが生かされていることはありますか?

 「特に意識として変わったことはありませんが、4番を打たせてもらっていれば毎年模索している部分はあると思います。4番は決して楽ではないですし、楽しいポジションではありません。でも、そういうもので悩めるうちはありがたいことだと思ってプレーさせてもらっています」

─昨季は故障離脱した期間に優勝を迎えただけに、今季は優勝を目指す上で違った感覚はありますか?

 「そうですね。昨年も一昨年も個人的には優勝を強く意識していた訳ではなく、1日1日を必死でやっていたら、どんどん2位とのゲーム差が大きくなっていって、気づいたら『優勝なんだ』という感覚でした。やはりそれは、キャンプからやってきた自分たちの野球を展開することができた結果だったと思うんです。今年もキャンプをしっかりとこなした上でプレーしていますし、もちろん優勝を目指しています。ですが、選手としては1試合1試合を一生懸命やろうと思ってプレーしている結果が現在の首位という位置だと思うので、そこは変わらずやっていきたいです」