二軍で調整を続けていたケビン・クロンが、一軍昇格即スタメンで結果を残した。4月18日の中日戦で2回に来日初のタイムリーで先制点を奪うと、8回には逆転となる2点二塁打。自身のエラーで高橋昂也の2018年6月28日以来となる勝ち星は消してしまったが、新助っ人が打撃不振に悩むチームを救ってみせた。

 はたして2安打3打点の活躍を機に、本来の力を取り戻すことができるのか。カープOB笘篠賢治氏の4月上旬のコメントをもとに、クロンの現状を探っていく。

一軍昇格後に即スタメンで起用されたクロン選手が、2安打3打点の大活躍を見せた。

◆いかに自分が打てる球を見極めるか

 個人的には多少アッパースイング気味というか、スイングを始動する際に右肩が下がっている点が気になります。下からかちあげる形をとっているわけですが、この点で今後も苦労はするかもしれません。とは言ってもアメリカではこのスタイルで結果を残したわけですし、あくまでも好球必打という意識を持っていればおのずと本塁打数も増加していくと思います。

 日本の野球、特にセ・リーグの野球はベースの上で勝負するメジャーリーグと違って、コーナーの角を狙ってくる傾向にあります。さらに変化球の割合も多いですし、いかにして自分が打てる球を見極めていくのかが大切です。

 いかにボール球に手を出さないかということが求められるだけに、今は我慢が必要かもしれません。野球の違いは実戦を通して慣れていくしかありません。またチームメートに疑問を聞いていくことも、日本の野球を理解するための必須事項です。

 3月31日の阪神戦では、クロンが加治屋から勝ち越しの本塁打を放ちました。ここぞというときの一発というのを期待されていた中で、その役割を見事に果たせました。打線がつないで勝つのと、ここぞの一発が出て勝つのとではまた違った印象がありますし、相手チームからすればカープの怖さが増したのではないでしょうか。

 4月3日のDeNA戦で空振り三振をした後に脇腹を押さえるような仕草を見せ、5日には上半身のコンディショニング不良で登録抹消となってしまいました。ただアウトコースのスライダー気味の球を強引に振りにいって痛めたので、復帰後はケガの功名で外の球を我慢できるようになるかもしれません。復帰後は、ここぞの一発をどんどん見せてほしいですね。