◆打撃を生かすため捕手以外のポジションに挑戦

 プロ4年目の中村奨成が、春季キャンプを最後まで一軍で駆け抜けた。

 「昨春は一軍のキャンプに選んでもらいながら途中で二軍に落とされ、力不足を痛感し悔しい思いをしました。また、シーズン中に一軍を経験させてもらいましたが結果を出せませんでした。それだけに今年の春季キャンプでもう一度アピールしないといけない気持ちが強かったので、なんとかくらいついていけるようにやってきました」

 必死に汗を流す一方で課題も痛感した。オープン戦で一軍に帯同するも4打数無安打。結果を残せず、途中で二軍に合流。開幕一軍はならなかった。

 「キャッチャーとしての力不足もですし、打撃面でも打てる時と打てない時の波が激しいのが課題です。安定して良い成績を残せるようにしないといけないですし、とにかく結果を残すことが求められる年齢になってきました。二軍に戻ってしまったのは悔しかったですがまたイチからという思いでやっていました」

 今季から新しい挑戦も始めた。二軍では持ち味の打撃を生かすため、捕手以外で、三塁や外野で起用されることが増えた。

 「もちろん捕手としてやりたい気持ちもあります。ただ、今の自分の力だと、捕手としては一軍ベンチに入れないのも分かっています。一軍に上がるためにポジションを与えてもらったので、チャンスと捉えてやるのみです」

 4月2日にマツダスタジアムで行われた阪神戦では、二軍戦ながら豪快な本塁打を放つなどコンスタントに結果を残したことで4月16日に一軍登録。登録されたその日の試合(中日戦・バンテリンドーム)で「2番・レフト」でプロ初スタメンを飾ると、第3打席で二塁打を放ち、プロ初安打を記録した。また、4月25日の巨人戦(東京ドーム)では代打で決勝点に呼び込む二塁打を放つなど、存在感を示している。

 ライバルに先を越されたら、また抜き返せばいい。かつて甲子園を沸かせた背番号22は、一軍定着を目指し、鍛錬を続けていく。