5月4日、栗林良吏が14試合連続無失点という金字塔を打ち立てた。これまでのルーキー初登板からの無失点記録は、ソフトバンクの甲斐野央が2019年にマークした13試合。梶谷隆幸の二塁打でピンチを背負ったものの、続く坂本勇人、丸佳浩を抑え込みプロ野球記録を更新してみせた。

得点圏に走者を背負いながら、巨人の主軸を封じ込めた栗林良吏投手。

 当初の予定では、今季の抑えの第一候補はフランスアだった。ところが新型コロナウイルスのPCR検査で陽性判定を受け、来日が2月中旬にずれ込んだ。

 その後、二軍で調整を続けていたものの、右膝内側半月板部分切除の手術で戦線を離脱。クローザー不在という非常事態に見舞われるなか、首脳陣から白羽の矢を立てられたのが栗林だった。

「オープン戦最後の対戦カード、ソフトバンクとの三連戦初戦の試合前に、佐々岡監督に呼ばれて『今シーズンはクローザーをやってもらう』と伝えられました。また、『結果が出ても結果が出なくても、責任は俺がとるから全力でやってくれ』と言っていただき、その言葉は自分の大きな励みになりました。ただ、その言葉に甘えたらいけないと思うので、シーズンが終わった時に、佐々岡監督に“クローザーを任せて良かった”と思ってもらえるように頑張ります」

 適正は抜群だった。シーズン前の練習試合、オープン戦でも7試合に登板し、7回を無失点。そして開幕後も無失点を続け、ついには日本記録にまで到達した。

「チームの勝利に貢献したい、一軍で活躍したい。そういった気持ちで自主トレ、キャンプと過ごしてきて、その結果、チームからクローザーのポジションを与えてもらっているだけなので、クローザーへの意識はありませんでした。たまたまオープン戦で結果が出てポジションを与えてもらっただけです。ですが、今は強く意識していますし、絶対に役目を全うしてやるという気持ちしかありません。やるしかないと腹を括っています」

 2日連続でプロ初勝利のチャンスは逃したが、栗林の力投でチームは引き分けとはいえ連敗を止めることに成功した。投手陣は概ね安定しているだけに、一日も早い打撃陣の復調に期待が集まっている。