カープ投手陣を牽引する昨年のドラフト1位・森下暢仁と今年のドラフト1位・栗林良吏。2投手が結果を残す理由はなにか。19年間捕手として活躍したカープOBの石原慶幸氏に、捕手ならではの視点で、結果を残すドラ1右腕の共通点を分析してもらった。

森下暢仁投手(右)と栗林良吏投手

◆1年目から結果を残す投手は自分のことをしっかり理解している

 森下投手も栗林投手もドラフト1位でプロの世界に入ってきた選手です。現役時代に野村祐輔投手や大瀬良大地投手など、ドラフト1位で入団した即戦力投手の球を受けてきましたが、1年目から活躍し結果を残す投手は、自分のことをしっかり理解していると感じます。それに加えて向上心が高い。自分を客観的に分析して、現状に満足せず、成長をやめない強い気持ちを持ったうえで日々練習に取り組んでいるので、自然と結果もついてくるのだと思います。

 野村投手も大瀬良投手も1年目からフル回転の働きをしてくれました。捕手として印象に残っている球種は、野村投手ならチェンジアップ、大瀬良投手はカットボールとストレートですね。

野村祐輔投手は、2012年の入団以来、全て先発登板を重ねる中で、石原氏とは合計79回バッテリーを組んだ。また、2016年には最優秀バッテリー賞を受賞した。

 また、新人投手と組む時に捕手として意識していたのは、お互いを知ることです。入ってきたばかりでどんな人間か分からないなかで、できるだけ気持ちを聞いたり、普段の表情を見たりしながら、どうやったらその投手の能力を引き出すことができるのかと考えていましたね。新人投手は初めて経験する舞台だけに当然緊張すると思いますし、緊張ゆえに、バッテリー間のサイン間違いなど、通常ならありえないミスが起こることもあります。

 私も19年間、プロ野球選手としてプレーさせていただきましたが、最後の最後まで緊張していました。試合前に緊張感や重圧に打ち勝って、グラウンドに立ったことは一度もありません。とにかく必死でしたし、1回の1アウトがとれたら、ようやく少し落ち着くという感じでした。なので、緊張することがダメだとは思いませんし、緊張といかに自分が向き合っていけるかが大事だと思います。

 森下投手や栗林投手は、即戦力候補として入団しているので、緊張に加えて重圧もあると思いますが、見えないものには勝てません。それらを受け止め向き合って、とにかく己を信じてプレーしてほしいと思います。