◆言葉で説明するというよりも自分の感覚

― データ以外の部分でポジション取りすることもあるのですか?

「僕は(打者が)振りにいった瞬間に、どっちかに動いているんですよね。最初は二塁ベース側に寄っていても、ひっかける感じがあれば、ポポポッと一塁側に寄ります。他にも捕手のサインがチェンジアップなら、打者が泳がされる可能性もあるので前に動いたりします。それはもう言葉で説明するというよりも、自分の感覚なんです。だっていくらコントロールが良い投手でも百発百中、捕手が構えたところに投げるわけがないですからね。自分のポジショニングに絶対的な自信を持っているわけでもないので、常に半信半疑です」

― そもそも菊池選手の定位置は、他のセカンドの選手よりも後ろに下がっていますよね。通常、右打者の引っ掛けた打球や左打者のボテボテの打球が内野安打になる危険性を考えると、ポジションを下げるのは恐くないですか?

「人よりもちょっと足が速く、(前の打球も)間に合う自信があるので、あのポジションなんです。打者によって多少ポジションを変えていますが、あれ以上、下がると前はケアできないので、あそこから下がることはありません」

― ただ、ボテボテの打球に対して猛スピードでチャージしても、一塁は左後方にあるので、ファーストが見えないだけでなく、送球するにしても体の切り返しが必要になり難しいのではないでしょうか?

「中東(直己)さんからも『あの体勢からドンピシャで一塁に投げられる意味が分かんねぇ』って言われました(笑)。でもあれ、ホント感覚なんですよ。最後まで100%の力で走っているわけではなくて、投げる瞬間にスピードは緩めていますし足も合わせています」