5月17日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けるまで、攻守両面でカープ野手陣を引っ張ってきたのが菊池涼介だ。ここでは7年前のものとはいえ、菊池のグラウンド上での思考がよく分かるインタビューを2回に分けて再録。今回は守備編をお届けする。
(『広島アスリートマガジン』2014年7月号掲載)

8年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞中の菊池涼介選手。

◆頭に入れるというよりも体が覚えている

― 今季も開幕からスタメン出場を続けていますが、昨季141試合に出場した経験からか、今季はよりプレーに落ち着きが感じられます。

「昨年シーズンを通して出させてもらった経験は大きいと思います。いろんな投手と対戦したことである程度どんな軌道でくるか分かりますし、守備に関しても昨季の打者の打球方向などが分かっていることは意味があると思います。そういったものはやっぱり蓄積されていくものだと思います」

― そういった情報は試合の中で吸収して頭の中にインプットされるものですか?

「頭の中に入れているというよりも、体が覚えている感じです。一応スコアラーさんからのデータと照らし合わせながらやっていますけど、今日は今日っていう感じです。僕がその日、試合で見て感じたままなので、(ポジショニングに)絶対的なものはありません」

― ポジション取りのためにはデータや感覚だけでなく、さまざまなことを頭にいれておかなければいけないのではないですか?

「アウトカウントやイニング、点差などですね。ただ、右のホームランバッターでも右に打ってくることもあるので、そういうときは『なんかこっち狙ってんな』って感じて、あまり(二塁)ベースに寄り過ぎないようにしようとポジションを取ることもあります」