スポーツジャーナリストの二宮清純が、ホットなスポーツの話題やプロ野球レジェンドの歴史などを絡め、独特の切り口で今のカープを伝えていく「二宮清純の追球カープ」。広島アスリートマガジンアプリ内にて公開していたコラムをWEBサイト上でも公開スタート!

 6月10日現在、カープは2勝7敗3分けで交流戦最下位である。もともとカープは交流戦に弱い。「五分で終わってくれれば御の字」と考えていたが、どうやらそれも難しそうだ。

 最下位の横浜DeNAが7勝5敗3分けと交流戦好調なため、ゲーム差は3にまで縮まってしまった。相手からすれば5位カープは射程圏内だろう。

 カープの弱点――小欄で何度も指摘しているが、それは外国人打者である。ケビン・クロン、アレハンドロ・メヒアの2人とも全く頼りにならない。

 そこでセ・リーグ6球団の外国人打者のホームラン数を調べてみた(データは6月10日現在)。トップは阪神の24本(ジェリー・サンズ12本、ジェフリー・マルテ11本、メル・ロハス・ジュニア1本)。ルーキー佐藤輝明の活躍に注目の集まる阪神だが、両外国人がしっかりと脇を固めている。

 2位が横浜DeNAの22本(タイラー・オースティン12本、ネフタリ・ソト10本)。来日が遅れていなかったら、阪神を上回っていた可能性が高い。カープにとっても、この2人は恐い存在だ。

 さて6位は? 残念ながらカープである。クロンの6本だけ。これでは勝負にならない。

 かつてリック・ランセロッティ(登録名ランス)という選手がいた。87年と88年の2年間、カープに在籍した左の長距離砲で、ファンからは「ランスにゴン」と揶揄された。当時、流行っていた「タンスにゴンゴン」という防虫剤のCMをもじったものだった。要するに「ゴンと出会い頭的な一発しかない」という意味だ。

 それでも87年には39本をマークし、セ・リーグのホームラン王に輝いている。114個の三振もリーグトップ、いやワーストだった。今となっては、そのランスすら懐かしい。

(広島アスリートアプリにて2021年6月14日掲載)

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二宮清純(にのみや せいじゅん)
1960年、愛媛県生まれ。明治大学大学院博士前期課程修了。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。ちゅうごく5県プロスポーツネットワーク 統括マネージャー。フリーのスポーツジャーナリストとしてオリンピック・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。『広島カープ 最強のベストナイン』(光文社新書)などプロ野球に関する著書多数。ウェブマガジン「SPORTS COMMUNICATIONS」も主宰する。