カープの先発陣では最年長となる野村祐輔。10年目の今季、プロ初登板から188試合連続先発登板の日本新記録を樹立(現在192試合まで記録更新)。ただ、今季は、これまで勝ち星をあげられないでいる。復調が待たれる先発のキーマンについて、カープOBの大野豊氏に話を聞いた。

復調が待たれる先発のキーマン・野村祐輔投手。

◆もう一度『勝てる投手』を取り戻してほしい

 野村は、球速ではなく、両サイドの投げ分けと緩急を使って投球を組み立て勝負する投手。コントロールに優れ、クレバーな面も併せ持っています。走者を出しても粘り強くゾーンの中で勝負できますし、たとえ1点取られたとしてもビッグイニングにしないゲームメイクができる先発向きの投手と言えます。

 ここまで先発で77勝。印象に残っているのは野村の1年目です。この年、私は投手コーチを任されていたのですが、防御率が1.98にもかかわらず9勝止まり。二桁勝ってもおかしくない投球内容が続いていただけに、申し訳ない思いがありました。それだけに新人王を取った時はホッとしました。

 あとは2016年の活躍ですね。16勝3敗、勝率.842でタイトルを取り、『勝てる投手』になりました。もう一度、この時の華やかさを取り戻してほしいですし、大学の後輩の森下が頑張っているので、先輩として意地を見せてほしい思いもあります。

 悔やまれるのは、野村が今季初先発した3月28日の中日戦(マツダスタジアム)です。初回に23球を要しましたが、2回以降は球数を減らして、野村らしいテンポの良いピッチングを披露。結果的に6回を投げて無失点。3安打5奪三振の内容で、先発投手の役割を十分に果たす投球をみせてくれました。それだけに、この試合、勝ち星をつけてやりたかったですね。ここで白星がついていれば、また違ったシーズンになっていたかもしれません。

 ただ、まだまだ取り返す機会はあります。チームが苦しいときにこそ、野村のような経験豊富な投手の力が必要なときがきます。前半戦で1勝もあげることができず焦りもあるでしょうが、我慢強く、若手の手本となるような投球をしていってほしいですね。