◆日本プロ野球に期待する伸びしろ

 日本はアメリカに比べて社会貢献活動や寄付文化が遅れていると言う人がいますが、私はそんなふうには思いません。遅れているのではなく、伸びしろがあると捉えています。プロ野球でいえば、昔から支援活動を行う選手はたくさんいますし、プロ野球選手会のアンケートでは現役選手の8割が社会貢献に興味を持っていると答えています。

 ただ、日本人のいいところでもあるのかもしれませんが、なかなかそれを表に出すことはしてきませんでした。でも、昔と違って今は発信の時代。プロ野球選手の発信力で社会に様々な課題があることをどんどん世に広め、その影響力でファンを巻き込んでいけば、もっともっと多くの人が幸せになれるはず。まさに、「野球の力で、人が救える」のです。その後方支援役として、BLFがお役に立てることがあればいいなと思って日々活動を進めています。

 思えば、カープファンによって支えられた『たる募金』。あれはまさに市民の善意そのものですよね。昔から日本に寄付文化が根づいていたことの証です。市民の善意によって支えられたからこそ、今の広島東洋カープがある。そんな球団が、そして選手たちが、今度は地域に対してどんな還元ができるのか。そういった視点も、これからのプロ野球の発展においては大事だと思います。

 ボストンのテロ事件は、決して望まれたことではありません。しかし、あのテロを機にレッドソックスとボストン市民の絆は、より強固なものになりました。不測の事態が起きた時はもちろん、レッドソックスのように常日頃から地域に手を差し伸べる活動を実践すれば、スポーツと地域の絆はもっともっと深まっていくと思います。

 カープなしじゃ生きられない!というくらいカープを愛している広島市民の方はたくさんいらっしゃるでしょう。それと同じように、カープの存在があるからこそ平穏に暮らしが送れるという市民が一人でも増えると、広島市民のカープ愛はさらに深まるのではないでしょうか。12球団の各地域で、野球が“娯楽”から“なくてはならないもの”に進化していくことを期待しています。

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岡田真理(おかだ・まり)
フリーライターとしてプロ野球選手のインタビューやスポーツコラムを執筆する傍ら、BLF代表として選手参加のチャリティーイベントやひとり親家庭の球児支援を実施。出身県の静岡ではプロ野球選手の県人会を立ち上げ、野球を通じた地域振興を行う。著書に「野球で、人を救おう」(角川書店)。