サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は、リーグ後半戦の初戦・福岡戦について振り返る。

8月9日の福岡戦でJ1通算300試合出場を達成した柏好文選手。

◆今季を象徴するようなドロー。しかし攻撃面では手応えも

 東京五輪が終わり、リーグ戦が再開しました。サンフレッチェは8月9日に福岡と対戦しましたが、結果は1ー1のドロー。最低でも1ー0で勝たないといけない試合だったと思います。この福岡戦のように、今季は勝てたのに引き分けてしまったという試合が目立ちます。勝ち点1を奪ったではなく、勝ち点2を失っていると感じています。これをいかに勝ち点3にするかが後半戦躍進のカギになると思いますね。

 ただ、そんななか、FWのサントスの動きの良さが目立ちました。後半34分のゴールは、オフサイド判定となりノーゴールになりましたが、良い流れのなかでゴールに結びつけられたのは良かったと思いますね。

 そして後半にPKを奪った柏好文のプレーも素晴らしかったです。相手を翻弄し切り込んでいく動き、味方との連携で相手のペナルティエリアに入っていく崩しなどはさすがの一言。この試合でJ1通算300試合出場を達成しましたが、歳を重ねるごとにサッカーが上手くなっているように感じます。緩急のつけ方や相手との駆け引き、味方の活かし方などが抜群に良い。まだまだ記録を伸ばしていってほしいですね。

 また、チームとして失点を喫してしまいましたが、DFの荒木隼人のプレーが非常に安定していました。大柄な選手と競り合っても決して負けていませんし、なかでもロングボールが入ったときにしっかりと競り勝ち、少しでも前にボールを弾き返していました。小さなことかもしれませんがこの積み重ねがチームに与える影響は大きいです。

 福岡戦は、海外移籍した川辺駿のポジション(ボランチ)にハイネルが入っていましたが、守備の貢献度が高く、攻撃への意識も感じられました。ボランチでコンビを組む青山は、守備がキーワードと言っていました。川辺は攻撃のイメージも強くありますが、守備が効いていたからこそスムーズに攻撃に転じることができていました。なので、ボランチを起点として、良い守備から攻撃につなげようという意識があるのだと思います。ただ守備について感じたのは、守るだけで奪えていないということ。仕掛けて守るのと、受け身で守るのは全く違うので、守備においても攻めの気持ちを持つことが大切です。今後もハイネルの起用が予想されますが、サントスをはじめ、ブラジル人選手同士のコンビネーションにも期待したいですね。阿吽の呼吸が出てくれば、チームとしての攻撃力も増すはずです。

 最後にこの話題を。9月12日に女子プロサッカーリーグ『Yogibo WEリーグ』が開幕します。サンフレッチェ広島レジーナには、サッカーの魅力、面白さを届けてもらいたいですね。期待しています。