PLは野球の名門。入ってみていかがでしたか。
前田健「思っていた以上に厳しかったです。自分は中学の野球を引退してから、監督に『練習していなければPLの練習にはついていけない』ということを言われていたので、かなり練習はしていたんです。それでも体力的にきつかったです」

それでも、すぐに頭角を現しました。
前田健「入部1カ月くらいで練習試合に登板しました。まずは1年生が投げさせられるんです。もちろん最初は自信がなかったし、やっぱり打たれました。中学の時は思い切り投げたら打たれない、ということもあったのであまり考えて投げてはいなかったんですが、高校はそれでは通用しない。そこからキャッチャーの人にアドバイスを頂いて、いろんな投球術を教わりました。それを考えて投げるようにしたら、3年生の人でも抑えられるようになったんです。それがきっかけで試合のベンチにも入れるようになりました」

そして強豪PLで1年からエースの座を獲得します。甲子園にも1年の夏、3年の春と2度出場、すべての試合で先発しました。
前田健「1年生の時はまだ入ったばかりだし、まさか先発するとは思いませんでした。初めての甲子園だし、足が震えましたね。初戦は日大三高だったんですが、2回か3回くらいに足に打球を受けて5回で降板しました。そのまま試合は負けてしまい、この時の甲子園は、あまり記憶に残っていないです。3年の時は1年の時のこともあるし絶対に後悔はしたくない、すべてを出そうと。2回目ということもあり緊張しませんでした。この大会では準決勝で清峰高に負けました。すごく悔しかったのですが、自分の力は出し切れたし納得のいく投球もできて『自分はやれるんだ』という自信がつきました」

では、高校で一番印象に残ったのは何ですか?
前田健「2年の夏の大阪府大会準々決勝の大阪桐蔭高戦です。辻内(崇伸・元巨人)さん、平田(良介・現中日)さんというプロ注目の2人がいたチームでした。5回までは1対0で勝っていたんですが、6回に辻内さんから右ヒジに死球を受けました。そこまでは2、3安打くらいに抑えていたんですが、その直後、平田さんに逆転ホームランを浴びて負けてしまいました。それでも、そんな2人がいたチームと互角に戦えたということがすごく自信になって、それがきっかけでプロを現実的に意識し始めました」