◆順調に練習メニューを消化。力感なく豪速球を計測

—小林投手は野球を始めたときからポジションは投手だったのですか?

「小学3年のときに野球を始めて主に投手ですけど内野や捕手など、いろいろなポジションをやっていました。連戦が多かったので投げた次の試合は捕手とか、そんな感じです」

—本格的に投手に取り組み始めたのは、いつからでしょうか?

「小学4年くらいからで、小学6年のときは背番号1を付けさせてもらいました。でも中学生のときは3年の夏まで背番号5をつけていて、エースではありませんでした。ただ僕自身の中では常に投手をやりたいという気持ちがあったので、エース番号をつけている選手にどうやったら追いつけるか、追い越せるかということを常に考えていました。その頃の考え方が高校に入ったとき、いろいろと頭の中でつながってくる部分があって、高校2年のときに出場した選抜で一つ形になったような気がします。なので本格的に取り組み始めたという意味では、高校2年の選抜が一番のターニングポイントになったと思いますね」

—そして直後の夏の大会で星稜高の奥川恭伸投手(ヤクルト)と投げ合って、さらに気持ちが入ったわけですよね。

「あんな素晴らしい投手の投球を目の当たりにして、自分の力のなさを改めて感じました。あのようなレベルの高い投手に少しでも近づきたいという思いを持って、2年の夏からの1年間は練習に取り組みました」

—このレベルまでいかないと指名されないとか、奥川投手の存在がドラフト指名される上での物差しになった部分もありますか?

「そうですね。高校時代の監督と話をする際にも『あれほどの投手でもプロで、すぐに成功することは難しい』と言われていたので、自分はまだまだと感じさせられましたし、それは今でもそう思っている部分です」

—気持ちを入れ替えて練習に取り組む中で、コロナの影響により昨年は選抜が中止。気持ちの面でも調整が難しかったと思います。

「選抜で自分が投げて優勝するという気持ちでやっていたので、正直、気持ちを上げるのが難しいときもありました。ただ自分は夏の大会の先にプロというものを見据えていたので、対外試合がない中でも冬にやっていた基礎体力を向上させる練習を継続してやっていました。そのときしっかり練習したからこそ、こうしてドラフト指名につながったのかなと思います」

—キャンプで練習を重ねていく中で、改めて今後は先発、抑えなどどこで投げたいという思いなどは出てきましたか?

「そこまでこだわりはないんですが、どこを任されてもしっかり勝ちにつなげるというのは自分の理想としてあるので、とにかくそこに近づけるように頑張っていきたいと思っています。チームの勝利に貢献できる投手になりたいです」

—最近のカープは高卒2年目の投手が一軍で活躍するケースが多いですが、小林投手が目指すものは何ですか?

「野球をやっている以上は一軍で試合をしたいという気持ちがあるので、一日でも早く一軍のマウンドに立って勝つということを目標に今季はやっていきます」

—一番、自信を持っている球種は?

「一番は真っすぐだと思いますけど、真っすぐに近いカットボール、スプリットには自信を持っています。今は全ての球種のレベルアップを図っている段階なんですけど、カットボールの球速が140kmを超えましたし、スプリットも140km近く出ていたので状態は悪くないと思っています」

—体重が増えた、球速が上がったなどの具体的な変化はありますか?

「連日の練習でも体重は減っていないですし、この前はブルペンで152kmキロが出ました。ブルペンの中で152kmは、ちょっと自分の中で飛ばし過ぎかなと思いましたけど(苦笑)、力感的にも全然そんなに力を入れている実感がなかったので、感覚的なものは変化してきているのかなと思います」

—逆に今の一番の課題は何ですか?

「全体的に未熟な部分が多いですけど、困ったときに使える変化球の精度が低いと思います。試合の中では真っすぐが中心になると思いますが、毎回真っすぐの状態が良いとは限らないので、そのときに使える変化球を2球種くらい持っていた方が良いのかなと、このキャンプに入ってから思うようになりました」

—では改めて今後に向けての抱負をお願いします。

「まずは一軍のマウンドで勝ちにつなげられる投球をすることを第一に考えていきたいと思います。その上でチームから必要とされる投手になりたいので、早くそこに辿り着けるように頑張っていきます。一日でも早く一軍のマウンドに上がって勝利を届けられるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!」

◆プロフィール
小林樹斗 53
■こばやし・たつと ■2003年1月16日生(18歳)■182cm/86kg    
■右投右打/投手 ■和歌山県出身 ■智弁和歌山高-広島(2020年ドラフト4位)