◆現状は坂倉が一歩リードか。カギは會澤の「打撃」にあり!

 現時点では「若さ」の坂倉が、「経験」の會澤を一歩リードしている感があるが、その差は明確に「打撃面」にあると言える。鈴木誠也の後ろを打つ5番に定着した坂倉は、いまやカープ打線に無くてはならない存在。マスクをかぶらずとも、一塁でスタメン出場する機会も多い。

 となると、カギとなるのは會澤の打撃力だ。経験値、キャッチング、リード、投手からの信頼など、純粋に「捕手」としての力量であればまだまだ會澤が有利だが、現状は坂倉がその「差」を圧倒的な打撃力で埋めている。

 とうことは、會澤の打撃の調子が上がれば、必然的に「一塁・坂倉、捕手・會澤」という座組が増えてくるはずだ。逆に「打」でアドバンテージを作っている坂倉は、今こそ「捕手」としての力量を上げ、「打」でも「守」でも會澤を凌駕する必要がある。

 33歳の會澤と、23歳の坂倉の年齢差を考えれば、いずれは完全に「世代交代」する日が来る。あとは、それがいつになるのか――。

 もちろん、坂倉のライバルは會澤だけではない。坂倉より1学年上の石原貴規は強肩とパンチ力を武器に一軍に定着しているし、1学年下には地元出身で甲子園のスター・中村奨成が控える。

 世代交代の先には、同世代同士の「正捕手争い」が待ち受けている。現在は會澤vs坂倉の構図が色濃いが、数年先にはこれが坂倉vs石原、中村奨成vs石原になっている可能性も十分ある。

 首脳陣としてはこれだけ捕手の層が厚いのはうれしい悲鳴かもしれないが、「正捕手」の座はひとつだけ。熱過ぎるカープの正捕手争いは、これからもしばらく、カープファンを楽しませてくれそうだ。