2014年1月7日、カープへの移籍入団会見で撮影に応じる一岡竜司投手。

見つめ直した投球スタイル

「良いときは6、7割の力で投げていても、140キロ台の球が出るんです。言い換えれば、130キロの腕の振りで140キロが出せる感覚です。今年はスピードに走ってしまったので、それが裏目に出てしまったかなと思います。春先はちょっと意味合いが違う力強さを求めてしまったのかなと反省しています。今は間違いに気づいて、もう一度自分の投球スタイルに立ち返っています」

 昨シーズンの不振を勤続疲労と捉える向きもあるが、そこは本人の中では否定的だ。実際、今年はコンディション的に問題ない状態で本人が思った以上に球速も出ていた。だが、実戦での投球内容には満足することなく、自分の投球スタイルを改めて模索する日々を送っていた。

「自分の場合は何らかの形で体に不安があった方が成績がついてくるので、あまり疲労度は関係ないのかなと思います。体が元気だと、その分腕を振りすぎちゃって良い球がいかないんですよね。逆にどこかをかばって投げていたら変な力が抜けて、体全体を使って投げることができたりするんです」

 試行錯誤を続ける過程で、開幕が延期になるという異常事態に見舞われた。その後、実戦練習も中止になるなど、一岡に限らず選手の誰もが難しい調整を強いられている。そんな状況下で、日本野球機構から開幕戦は無観客で開催という指針も示された。静寂の中でプレーすることの難しさはオープン戦で経験済み。だが、そうと決まった以上は全選手が無観客を想定しながら状態を上げていくしかない。