サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は、8月21日の川崎戦から9月11日の横浜FM戦に記録したゴールを振り返っていく。

ドリブルから鋭く切り返すプレーが魅力の柏好文選手。数多くの得点機会を演出し続けている。

◆サンフレッチェが目指すべき攻撃の形が見えてきた

 8月21日の川崎戦(△1ー1)から9月11日の横浜FM戦(●1ー3)までの5試合で合計7得点を奪うことができました。今回はこれらの素晴らしいゴールから振り返っていきたいと思います。

 まずは川崎戦。前半の柏好文の先制ゴール。これは、前線での守備がスローイングにつながり、そこからチャンスをつくることができました。アシストした柴崎晃誠の技術と柏のゴールセンスが素晴らしいのはもちろん、組織的なプレーから生まれた価値のあるゴールだと思います。

 8月28日の大分戦(〇4ー1)は、相手に先制されたものの、エゼキエウのゴールで同点に追いつき、後半に3点をあげることができました。

 まずセットプレーから荒木隼人がヘディングで勝ち越し点となる2点目を決めたことが大きいですね。選手の心に余裕が生まれ、試合の流れが変わったと思います。3点目はカウンターからのゴール。右サイドに上っていた柏から左サイドの東俊希にパスが通り、そこからエゼキエウとのコンビネーションで、最後はサントスが決めてくれました。

 そして、トドメの4点目も見事なカウンター。このゴールは、柏とサントスの“意思疎通”と“飛び出すタイミング”がバッチリはまったゴールでした。ボールを持った柏が右サイドを駆け上がり、サントスの動きに合わせてドリブルのリズムを巧みに変えてクロスを入れるタイミングを見計らいます。そこにサントスが相手との駆け引きから抜け出し、スペースに走り込み、柏からのパスを受け取りシュート。簡単そうに見えるシュートですが、映像を見ると、少しバウンドしていて蹴るのが難しかったのではないかと思います。それをコンパクトな振りで叩き込んだ、実にレベルの高いゴールです。

 そして、このゴールには影の引き立て役がいます。柏にロングフィードを出したハイネルです。最終ラインから前線にボールを蹴った後に走り出すと、最終的にサントスのすぐ後ろまで上がっていました。この動きが相手の迷いを誘ったと思います。素晴らしい連動でした。

 続いて神戸戦(△1ー1)。東の直接フリーキックのゴールです。このゴール、みなさんも思わず拍手喝采されたのではないでしょうか。右上のコースを狙い、少し巻きながら最後は落とす軌道のシュート。そのレベルの高さに驚きました。かつてのサンフレッチェのフリーキックの名手・森﨑浩司を彷彿とさせましたね。

 東はここ数試合、本職ではないポジションを任されたり、さらにシーズン前半からシステムが変わるなど、プレーに対して迷いがあったのではないかと思います。しかし、いろんなポジションを任せられるということは、それだけユーティリティ性があるということです。神戸戦でも3バックの一角として、守備でも献身的なプレーをしていました。この神戸戦での攻守における活躍は自信にしてもらいたいですね。

 また、チームとして、フリーキックをはじめとしたセットプレーでのゴールを増やすことができれば、リーグで一番多い引き分けの試合を、勝利に変えていけると思います。