プロ野球レギュラーシーズンも各球団残り試合は10試合を切った。優勝争いと共に個人タイトル争いも注目されている。

背番号51から1に変更した2019年に首位打者を獲得した鈴木誠也。

 10月15日現在でのセ・リーグ打率ランキングを見ると、カープの4番・鈴木誠也が打率.321でトップを走り、2位以下では阪神の近本光司が.318、DeNAの桑原将志が.314、4位には今季プロ初の規定打席に到達したカープの坂倉将吾が.313で続いている。

 2016年から5年連続打率3割を記録している鈴木は、2019年に打率.335で初の首位打者に輝いており、3年ぶりのタイトル獲得が期待される。ここでは、過去カープで首位打者を獲得した打者を、改めて振り返ってみる。

◆「球団初の首位打者」森永勝也 1962年 打率.307
 1958年にカープに入団し、1961年から2年連続でベストナインを受賞。1962年には打率.307で球団史上初の首位打者に輝いた。ちなみにこの年のセ・リーグ投高打低であり、森永は規定打席到達者の中でただ1人の3割打者だった。1971年に引退後はカープでコーチに就任し、1974年にはカープ一軍監督も務めた。

◆「初優勝に燃えたミスター赤ヘル」山本浩二 1975年 打率.319 
 1969年にドラフト1位でカープ入団。年々打率を上げ、1975年には初優勝に向けて快進撃を見せるチームの中で4番に定着。この年、オールスターで同僚の衣笠祥雄と共に2打席連続本塁打を放ち「赤ヘル旋風」を巻き起こした。優勝争いの中で好調な打撃を維持、最終的に自身初の3割となる打率.319で首位打者を獲得。初の30本塁打も達成。シーズンMVPに輝いた。

◆「球団記録の打率」水谷実雄 1978年 打率.348
 プロ入り後に打者に転向。1975年の初優勝時にはレフトでウイニングボールを掴んだ。1976年に初の3割(.308)を記録すると3年連続3割を達成。1978年には「シーズン200発」を記録した強力打線の中で打率.348をマークして首位打者を獲得。この数字は球団記録。通算244本塁打を放つなど、一発もある安打製造機として長年活躍した。

◆「本塁打0の首位打者」正田耕三 1987年(打率.333)、1988年(打率.340)
 プロ入り後にスイッチヒッターに転向。プロ2年目にセカンドのレギュラーを掴むと、1987年には足を生かした打撃で打率.333をマーク。スイッチヒッターとしてNPB初、本塁打0で首位打者に輝いた。また翌1988年には、さらに数字を上げて打率.340で2年連続の首位打者を獲得した。守備面ではセカンドで5度のゴールデン・グラブ賞も獲得した名手だ。

◆「プロ10年目でブレイクした“赤ゴジラ”」嶋重宣 2004年 打率.337
 超高校級の左腕として投手として入団も、1999年に打者に転向。なかなか一軍で結果を残せないシーズンが続いたが、背水の陣で臨んだプロ10年目、背番号「55」に変更して一気にブレイクした。開幕から打率4割を超える高打率を残すと、シーズンを通じて好調をキープ。結果的に打率.337、189安打で首位打者と最多安打のタイトルを獲得した。

◆「日本の4番に成長した“神ってる男”」鈴木誠也 2019年 打率.335
 高卒1年目の2013年にプロ初安打をマーク。年々一軍での出場機会を増やすと、プロ4年目の2016年に、3試合連続決勝本塁打を放つなど「神ってる」活躍を見せるなどレギュラーに定着。打率.335、29本塁打で25年ぶりVに貢献。その後チームの4番として安定した数字で3連覇に貢献。レギュラー定着4年目となる2019年に打率.335で初の打撃タイトルとなる首位打者を獲得した。