3年連続でBクラスが確定したカープ。12球団トップのチーム打率を誇り、小園海斗や林晃汰など、多くの若手選手が活躍したにもかかわらず、最後まで優勝争いに絡むことができなかった。今季の戦いをふまえ、カープOBの笘篠賢治氏に、来シーズンの戦い方について聞いた。

今季、一軍で大きな飛躍を果たした林晃汰選手。

◆来季は今季以上に“つなぎの野球”が求められる

 カープは残念ながら逆転CS進出は叶わず、4位が確定しました。落とさなくてすんだ試合もありましたが、シーズン終盤にここまでの見せ場をつくることができたのはすごいことですし、カープの意地の逆襲を予想できた方は決して多くはなかったはずです。

 苦しみながらも若手選手中心で戦えたことをはじめ、来季に向けての好材料は数多くあったと思うので、秋季キャンプでの選手の成長が楽しみです。

 また、10月26日にヤクルトのリーグ優勝が決まりました。ヤクルトには、今季ここまで6勝14敗と大きく負け越し。ヤクルトの強さをまざまざと見せつけられてしまいました。出塁した走者をいかに得点につなげるかというところなど、今季のヤクルトの戦いから学ぶべきことはあるはずです。

 そして、来季を見据えた話をする際、どうしても触れないといけないのは、鈴木誠也がメジャーに挑戦するかどうかということでしょう。カープはこれまでも多くの主力選手がチームを去るといった経験をしてきましたが、鈴木誠也の穴埋めに関しては相当苦労すると思います。

 新外国人選手は、来日して実際にプレーを見てからでないと分からない部分がありますし、ドラフトで右の大砲候補を数人指名しましたが、ルーキーにいきなり期待するというわけにもいきません。

 林晃汰を村上宗隆のように4番打者として育てるというプランもあると思いますが、4番は、簡単に定着できるほど甘くはないポジションです。また、もし林を4番に起用するとなった場合、上位打線に宇草孔基、小園海斗、西川龍馬、坂倉将吾ら左打者が並んでしまうことが予想されるため、他球団は容赦なく左投手をぶつけてくることが予想されます。

 いずれにしろ、来季は今季以上に“つなぎの野球”が求められることになると思います。今シーズン終盤、有効的に使えていた足を絡めた攻撃の精度を、より高めていかないといけませんし、小園や林などの若手選手には、選手個々のさらなるレベルアップが求められます。そういった意味でも、冒頭でも述べましたが、今年の秋季キャンプはかなり重要になってきます。

 今シーズンもラスト3試合。タイトル争いをはじめ、見どころはおおいにあります。最後までファンの方が喜ぶ試合を届けてもらいたいですね。