タイトル獲得とはならなかったが、プロ1年目から数々の記録を打ち立てた栗林良吏投手。

 守護神に抜擢されたドラフト1位ルーキーの栗林良吏が、1年目のシーズンを最後まで離脱することなく投げ抜いた。

 プロ初登板は3月27日の中日戦(マツダスタジアム)。3点リードの9回にマウンドに上がると、相手打線をわずか10球で三者凡退に抑え、記念すべきプロ初セーブをマーク。5月4日の巨人戦(マツダスタジアム)ではプロ初登板から14試合連続無失点という新記録を打ち立てた。

 以降も無失点登板を続け、6月10日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で、球団新記録となる開幕から22試合連続無失点を達成。大車輪の活躍が認められ野球日本代表に抜擢されると、東京五輪では2勝3セーブの成績を残し金メダル獲得に貢献した。

 さらに、9月26日のDeNA戦(横浜スタジアム)では、球団の新人最多記録を更新する26セーブをマーク。その後も守護神として投げ続け、山﨑康晃(DeNA)の持つプロ野球新人セーブ記録となる37セーブに並び、岩瀬仁紀(元中日)に並ぶ、NPB歴代2位タイとなる20試合連続セーブも達成した。

 また、特筆すべきは本拠地マツダスタジアムでの防御率。27試合に登板し防御率0.00。無失点のままシーズンを終えたことは、語り継がれていく栗林伝説となることだろう。

 以前の取材で、栗林は、マツダスタジアムで投げることに関してこう話してくれた。

「ホームでは相手に得点を奪われたくないですし、なによりも負けたくないと思ってマウンドに上がっています。また、カープファンの方の存在も大きいです。ファンの方が支えてくださっているので、僕も自信を持って球を投げることができています。これからもマツダスタジアムでは点を取られたくありませんし、その思いを忘れずに投げていきたいと思っています」

 シーズン開幕前、『1年間クローザーとして投げ抜くこと』を今年の目標にしていた栗林。スコアボードにゼロを刻み、チームに勝利をもたらすクローザーとしての仕事を最後まで全うした。数々の記録を打ち立て、37セーブ・防御率0点台の驚異的な成績を残し、プロ1年目のシーズンを終えた。