3年連続でBクラスが確定したカープ。12球団一のチーム打率を誇りながら、得点に結びつかないケースも多かった。得点力アップに向けて改善したいポイントをカープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

今年の春季キャンプでは走塁への意識を高める練習が行われた。

◆いかに一、三塁というケースをつくることができるか

 Bクラスには終わりましたが、9月には最大で17の借金がありました。そこから、最終的に63勝68敗12分けの結果で終えたのはチームとしての力がついてきたからこそだと思います。

 ただ、12球団トップのチーム打率.264を誇りながらも4位という順位になったのは改善していきたいポイントです。いろいろな要因が考えられるでしょうが、ひとつは攻撃での戦術面にあったと思います。

 これまで何度も言ってきましたが、足を使った攻撃というのは盗塁だけが全てではありません。2位の阪神が114盗塁していますが、優勝したヤクルトは70盗塁。カープが68盗塁なのでほとんど変わらないんです。

 盗塁は相手バッテリーにプレッシャーを与えることができるので、盗塁ができるにこしたことはありません。ただ、大事なのは、ランナー一塁の場面から、いかに一、三塁というケースをつくることができるかどうか。一、二塁も得点圏ではあるんですが、三塁を狙うことでより得点につながります。ヤクルトはそういった攻撃ができていました。

 また、メディア報道を見ると、「ヤクルトを参考に“一体感”を見つめ直す」といったものがありました。カープはベンチの中でクールな選手が多いですよね。マツダスタジアムのベンチの目線がグラウンドレベルになっているので、神宮球場や甲子園などと比べると、選手たちも冷静になりがちなのかもしれません。ただ、もっと活気を出しても良いのかなと思います。

 ヤクルトを見てみると、チーム野手最年長の青木宣親が先頭に立ってチームを盛り上げて、そこに村上宗隆などの若手も一緒になって盛り上げています。山田哲人も以前はそういったタイプではなかったですが、輪の中に加わる機会が多くなりました。そのあたりがチームの結束を高めて、勢いをもたらしているのかなと思います。これはカープも真似していきたいですよね。

 これから秋季キャンプに入ります。若い選手が多いとはいえ、長いシーズンの中で疲れは確実に蓄積されているので、ケガだけは気をつけないといけません。来季の開幕までの時間も短いので、しっかりと心の休養、身体の休養をとって、その上で技術に磨きをかけていってもらいたいですね。

 来季は一軍、二軍が束になって戦わないといけないので、一人ひとりが大切な戦力です。まずはケガで欠けることなく、来季に向けてレベルアップを図ってもらいましょう。