2018年、4球団競合の末、ドラフト1位で入団。当時の高校球界を代表する野手は、1年目から一軍を経験し、明るい未来を予感させた。しかし、2年目は一軍出場わずか3試合。悔しさを経験したことで、3年目の今シーズン、一軍でショートのポジションをつかみとった。ドラフトから飛躍を遂げるまでの軌跡を成長を続ける小園の言葉で振り返っていく。(全4回のうち1回目・取材は10月上旬)

高卒ルーキーながら一軍キャンプに抜擢され、オープン戦では走攻守で高い能力を発揮した小園海斗選手。球団の高卒新人としては、19年ぶりとなる開幕一軍を勝ち取った。

◆「どこになるんだろう‥」無心のまま見守った4球団の抽選

─小園選手がカープから1位指名を受けた2018年のドラフトから振り返っていきます。当時のドラフト会議でどんなことが印象に残っていますか?

「ドラフト会議は、それまでテレビでしか見たことがなかったので、いざ自分が会見の席に座り、高校の校章も飾られた空間にいると、落ち着かない気持ちになりました。ただ、こういった経験は誰もができるわけではないので、良い経験をさせてもらったと思っています」

─この年、カープのほか、オリックス、DeNA、ソフトバンクも小園選手を1位で指名し、4球団による抽選となりました。抽選を見守っている時はどんな気持ちだったのでしょうか?

「何も考えることができなかったというのが正直なところです。『どこになるんだろう……』としか考えていなかったです」

─ドラフト前にカープから1位指名の報告はあったのでしょうか?
「1位指名していただいた4球団のうち、2球団には事前に伝えてもらっていましたが、その他の球団に関しては全く分かりませんでした」

─担当の鞘師智也スカウトは小園選手と同じ報徳学園高出身です。高校時代の小園選手にとって鞘師スカウトはどんな存在だったのでしょうか?

「鞘師さんには高校1年の時からずっと見ていただいていて、『頑張れよ』と声をかけていただいていました。鞘師さんがいるカープから指名していただき、4球団の抽選になっても最終的には鞘師さんがいるカープに決まった時は驚きましたが、1年生からずっと見ていただいていたからこそ、言葉では言い表せないご縁みたいなものがあったのだと思います」

●小園海斗(こぞの かいと)
2000年6月7日生(21歳)/兵庫県出身/178cm・84kg/右投左打/内野手/報徳学園高-広島(2018年ドラフト1位)
【2021年成績】113試合 打率.298 134安打 5本塁打 35打点 4盗塁