今シーズン、交流戦から5番に定着すると132試合に出場。プロ初の規定打席に到達し、リーグ2位の打率を記録した。また、捕手以外にも一塁の守備にも挑戦するなど、貴重な経験をした“進化”のシーズンとなった。躍進の2021年を倉将吾の言葉で振り返る。(全3回のうち2回目・取材は11月中旬)

5年目の今季、リーグ2位の打率(.315)、チーム2位の68打点をあげた坂倉将吾。

◆自分の打撃をダメなら仕方がないと腹を括った

1回目から続く)
─今シーズンは133本の安打を打たれています。印象に残っている一打を教えてください。

「まず一つは3月26日の開幕戦(中日戦・マツダスタジアム)で打った今季初安打です。もう一つは、9月19日のヤクルト戦(神宮)の第3打席で打った安打です。これは周りの人にいろんなことを聞いて、支えてもらうなかで出た一本だったので印象に残っています。走者もいなかったので、チーム的にはそこまで価値のない安打かもしれませんが、自分にとっては、ここで1本出たからこそ、今シーズンこういった成績が残せたのかなと思っています」

─9月7日に規定打席に到達すると一気に首位打者に踊り出ました。しかし、それ以降、26打席連続無安打が続くなど一気に数字を落とされました。数字を意識した部分はありますか?

「練習では良い感じで打てていたので、正直調子は悪くありませんでした。数字を残して、自分の名前が個人成績に出るようになり、少なからず意識してしまった部分があるのではないかと思います。安打を欲しがるあまり、打撃の形が少しずつ変わってしまい、それまでと同じように振っているつもりでも何かが違っていたのだと思います」

─無安打が続いた時期、鈴木誠也選手からアドバイスを受けたと聞きました。どんなことを学んだのでしょうか?

「安打欲しさに小さくなるなということを指摘されました。スイングが小さいと、例え良い当たりだったとしても、野手の正面をついてしまうことがよくあります。そうならないために、いろんな方法を教えてくださいました。誠也さんとは首位打者を争いましたが、安打を欲しがる打撃はなかったような気がします。今までやってきた練習を振り返りながら、手応えを見つけるために試行錯誤を続けてきました」

─その鈴木選手とは、シーズン最終戦まで首位打者争いを続けました。

「9月に首位打者を意識して失敗していたので、最後はあまりタイトルは意識していませんでした。とにかく自分のスイングをしようと言い聞かせて、そこは変えずにやってきた結果、成績につながったのかなと思います。タイトルを獲りたい気持ちがなかったと言えば嘘になりますが、何よりも意識したのは自分の打撃。これまでの経験を通してつかんできたものを壊したくない、自分の打撃をして獲れなかったら仕方がないと腹を括っていました」

9月7日の中日戦(マツダスタジアム)で、サヨナラ3ランを放ち。鈴木誠也と抱き合って喜ぶ坂倉将吾。また、この日、プロ初の規定打席に到達した。

◆坂倉将吾 #31
捕手/右投左打/5年目
【2021年成績】132試合 422打数133安打 打率.315 12本塁打 68打点 4盗塁