◆新たな主役は誰だ!?若鯉たちの決意表明
2人の即戦力左腕、社会人を代表する右の長距離砲、将来有望な高卒スラッガーなど、全11選手が、4年ぶりの優勝に向け、生まれ変わりつつあるカープに加わった。昨年末に開催された新入団会見前に行った独占取材をもとに、プロの舞台に飛び込む11選手の熱き思いを届ける。
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【新入団選手連続インタビュー#2】
育成ドラフト1位・新家颯(田辺高)
◆縦に落ちるスライダーを武器にプロの世界へ
打者の手元で驚くほど曲がるという縦のスライダーは、新家が試行錯誤の末に編み出した唯一無二の武器。甲子園出場経験こそないものの、182センチから投げ下ろす直球とクセのある変化球を武器に奪三振を積み重ねる快投がスカウトの目に留まった。ピンチの場面でこそ真価を発揮する、伝家の宝刀・スライダーを武器にプロの世界に挑む。
─プロ野球の世界を意識するようになったのは、いつ頃からでしょうか?
「高校3年の夏の大会が終わってからです。最後の試合は序盤に点をとられ、そのまま負けてしまいましたが、試合後半は、自分の中で最大限の投球ができたと思っています。得意にしているスライダーが切れて思うように投球できたので、9回3失点12奪三振という結果を残すことができました」
─その日の試合を、担当スカウトの鞘師さんが偶然見て、そこから新家投手をマークするようになったと聞きました。
「その日の3試合目が、小園健太投手(DeNAドラフト1位)のいる市立和歌山高の試合でした。小園投手の視察に来られていた鞘師さんが、偶然、その前の試合で投げていた僕を見てくださっていたようです」
─鞘師さんからかけられた言葉で印象に残っているものはありますか?
「『自分が頑張れば、周りの人が幸せになる』と言われたことが印象に残っています」
─その試合でも威力を発揮した、縦に割れるスライダーが武器になってくると思います。投げる上で参考にした投手はいますか?
「手術をきっかけに投球フォームの改造に取り組み、その際、大竹耕太郎投手(ソフトバンク)のフォームを参考にしました。特に参考にしたのは足の使い方です。足の動きを意識し、フォームと腕の振りを変えた結果、球の変化も変わりました。自分でも、以前に比べて、球の軌道が若干早く曲がるようになったと感じています。このフォーム変更により、スライダーが大きく進化しました」
─高校1年の冬に左肘手術。投手だけに不安も大きかったのではないですか?
「手術の影響で野球ができないため、不安より悔しい気持ちのほうが大きかったです。ただ、復帰して野球ができるようになってからは、これまで以上に、悔いを残さないよう全力で野球に取り組むようになりました」
─目標にしている投手は?
「落ちる変化球で三振を多く取っている印象がある千賀滉大投手(ソフトバンク)です。僕も縦に落ちるスライダーを使って、三振をたくさん取っていきたいと思っています」
─座右の銘を教えてください。
「手術後に出会った言葉で、グローブにも刺繍している『英姿颯爽(えいしさっそう)』という言葉です。自分の名前が入っていることもありますし、『堂々として、勇ましく立ち振る舞うさま』という意味があるので、常に自信を持って投げることを胸に刻むために選びました。プロに入ってから使うグローブにも、同じ言葉を刺繍しようと思っています」
─プロ生活がいよいよ始まります。
「カープの練習は厳しいと聞いていますが、その練習の中で自分がどのくらい成長できるか、今から楽しみにしています」
●新家颯(しんや・そう)#126
■2003年8月14日生(18歳)■182cm/80kg ■左投左打/投手 ■和歌山県出身 ■田辺高