◆代打の切り札として活躍した左打者

 「27」を一番長くつけているのは、ドラフト4位入団の原伸次。原は変化も多かった選手だ。1981年から1994年シーズン途中に横浜に移籍するまでの14シーズンのうちに、1986年には捕手から内野手に転向。1989年には「原伸樹(読みは変わらず「しんじ」)」に改名するなど、背番号は変わらなかったが変化も多かった。1991年、リーグ優勝の一員にもなり、日本シリーズでは2試合に先発出場。移籍翌年の1995年に現役を引退し、1996年からカープのコーチに就任した。

◆2000年以降は捕手の番号として定着

 ブランク後の2000年に、逆指名のドラフト2位で入団して「27」を着け、「捕手の時代」をスタートさせたのが木村一喜だ。ルーキーイヤーから一軍で出場し、2002年には先発出場試合が激増。最終的にこの年は109試合に出場、規定打席には届かなかったものの打率.314と好調だった。2007年シーズンを限りに楽天へ移籍した。

 木村の移籍後は、同じ捕手の上村和裕が「66」から変更して背番号「27」に。2014年シーズンを最後に現役を引退し、2015年から現在までは、「64」から変更してきた會澤翼のものとなっている。

 茨城県日立市出身の會澤は高校時代、甲子園出場はならなかったものの、そのポテンシャルは注目を浴びており、2006年の高校生ドラフト会議で3巡目指名を受けてカープに入団。ルーキーイヤーは一軍出場は叶わず、一軍初出場は3年目の2009年5月。2014年頃から実力が開花し、日本代表「侍ジャパン」に初めて招集された2015年から背番号「27」とともに歩むこととなった。

 同年には開幕スタメンを実現するなど着実に力を伸ばしており、2016年からは球団史上初のリーグ3連覇に貢献。2017年から2019年には3年連続でベストナインを受賞した。2年連続で選出された時点で、カープの捕手としては初の快挙となった。

 會澤の活躍が、今や「捕手の番号」となっている「27」の印象をより強いものにした。近年カープでは捕手争いが激化しているが、若手を引っ張る會澤の力はまだまだ必要だ。2022年シーズン、さらなる活躍を期待したい。

【背番号『27』を背負った主なカープ選手】
山本浩二(外野手/1969年-1970年)
金城基泰(投手/1971年-1976年)
原伸次(捕手/1981年-1994年)
木村一喜(捕手/2000年-2007年)
會澤翼(捕手/2015年-)
※初めて背番号を付けたシーズンのポジションを表記。