カープの春季キャンプが2月1日から始まった。佐々岡真司監督3年目の今シーズンは主砲の鈴木誠也を抜けた穴をどう埋めていくかが最大の課題となる。指揮官が4年ぶりのAクラス、その先にあるリーグ優勝を目指し、どのようなチームを作り上げていくか注目が集まる。

 また、今年のキャンプは若手のホープが数多く一軍キャンプに抜擢されている。ドラフト1位の黒原拓未をはじめ、2位の森翔平、3位の中村健人、5位の松本竜也、6位の末包昇大の5人のルーキーが一軍スタートになったほか、育成の持丸泰輝、二俣翔一も一軍メンバーに抜擢された。

 ここでは高卒2年目で初の一軍キャンプ参加となる小林樹斗のプロ1年目の言葉を取り上げる。プロ1年目から一軍デビューを飾り、今季先発ローテ入りの期待がかかる右腕が、カープ入団前に話していた決意、理想の投手像とは。

高校生投手屈指の実力者としてドラフト前から名前が挙がっていた小林樹斗。将来のエースとして期待がかかる。

◆高校2年の夏の甲子園で投げ合った奥川の投球に衝撃

─高校時代と同じく赤がチームカラーのカープからの指名となりました。

「指名されるか不安だったので、名前が呼ばれた時はホッとしました。順位は関係なくとにかくプロに入りたかったのでうれしかったです。周りからは『良い球団に指名されたね』と言っていただけましたし、中谷監督からは『ここからが本当の勝負だから、もう一度、気持ちを引き締めて頑張らんとあかんぞ』と激励していただきました。担当スカウトの鞘師さんからは『上位で指名されると思っていたから、4位で指名できるとは思っていなかった』と言われ、励みになりました。またカープはユニホームの色が高校と同じ赤なので親しみもありますね」

─カープには同校の先輩・林晃汰選手がいます。

「僕にとって林先輩は雲の上の存在です。1年のとき、3年の林先輩が活躍する姿を見て、先輩のように自分もプロの世界に入りたいと思うようになりました」

─どんな投手を目指していますか?

「目標は、高校2年の夏の甲子園で投げ合った奥川(恭伸)さん(ヤクルト)です。間近で見てとにかく衝撃を受けましたし、この試合を経験してから、それまで以上にプロへの思いが強くなりました。プロでは先発とリリーフ、どちらを任されてもチームの勝利を第一に考えて投げていきたいです。常に勝利に貢献できる投手でありたいと思っています」

─150キロのストレートに加え、変化球も多彩と聞きました。

「持ち味であるキレのあるストレートを中心に、打者の反応を見ながら、変化球を織り混ぜていくのが自分の投球スタイルです。変化球は得意にしているカットボールとスプリットを含め、全部で6種類投げています。もう一つ、森下(暢仁)投手が投げているような、緩いカーブを習得できれば投球の幅が広がると思っています」

─高校生活3年間で学んだことは?

「野球の技術もですが、監督さんからは『人間的に成長しろ』と常々言われてきました。登下校時の立ち振る舞いを含めて、人に見られている意識を持つことが大切だし、取材時の対応、お客さんが来られた時の対応など、人との関わり方についても何度も教わりました。人としても成長できた3年間だったと思います」

─12月上旬には、元大リーガーのイチローさんが、同高で3日間指導をされました。

「2人で話をさせていただく時間もあり、いろいろなお話を聞かせていただきました。また、ブルペンでの投球練習では、イチローさんが打席に立ち、全ての球種を見てくださいました。『プロでの姿をずっと見ているから頑張れ』と言ってくださったので、早く良いニュースを届けたいと思っています」

※アスリートマガジンWEBに2020年12月31日に掲載