サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は開幕直後の戦いを振り返り、今季のサンフレッチェ広島のチームの魅力について語ってもらった。※取材は3月上旬。

2月26日の札幌戦、後半に同点ゴールを決めた森島司

◆課題を次に生かし進化を続ける勝ち点以上の手応えは充分!

 優勝経験のある選手たちがチームの軸としてセンターにいる安定感も心強いポイントです。さらに鉄板のディフェンスがそろっていますから、多少カウンターをもらっても対応できる信頼感があります。

 札幌戦(2月26日)で森島司のゴールをアシストした塩谷司は、ボランチで良い働きをしています。あの縦パスの精度は、さすがの一言。彼は中央でボールがさばけるし、ディフェンスもできるし、セットプレーから得点も奪える。相手からすると怖い存在でしょう。

 柴﨑晃誠は37歳という年齢でもメンバーに入り、途中出場して試合を落ち着かせることができる能力があります。相手の嫌がる場所でボールを受けてさばくシーンなど、サッカーをよく知っているなと感心させられます。

 神戸戦では佐々木翔のヘディングシュートが強烈でした。競り合ってジャンプして当てることはできても、飛んだ状態で全身を弓のようにしならせて強いボールを打つというのは、誰にでもできることではありません。あれは佐々木にしかできないゴール。筋力や体幹の強さの賜物ですね。

 甲府から復帰した野津田岳人もプレーの質が高くなっていますし、運動量も素晴らしい。去年の得点力不足を解消するにはセットプレーから得点することが重要ですが、野津田がキッカーになれるので、右利きの森島と、左利きの野津田の2人が立てば武器になります。野津田にはレフティーという武器を生かして存在感を示してもらいたいです。

 ケガから復帰した永井龍にも注目です。コンディションが良く、今年にかける強い思いを感じます。彼はポストプレーができるし、前からの守備のスイッチも入れられる。チームとして戦う上で魅力的なものを持っている選手だと思います。

 森島もケガから復帰してコンディションを上げています。攻撃だけでなく守備にも献身的で、ボールを追い回し、転んでも何回でも起き上がって走っていく。今季も10番を背負い、チームに勇気を与えていく存在になると思います。

 今季は始まったばかりですが、昨季とは違う雰囲気をひしひしと感じます。ボールを奪えずカウンターをもらっても、まずはチャレンジすることが大切。振り返って修正をして次に挑むことができているので、たとえ勝てなかったとしても、マイナスではありません。ベテランが締めるところを締め、若手が暴れまくる。選手自身も、今の勝ち点以上の手応えを感じていると思います。