開幕ダッシュに成功し、4月10日時点でセ・リーグ首位に立つカープ。OBの笘篠賢治氏に、これまでの戦いを見て感じた、勝利を見据えたベンチワークについて語ってもらった。

選手と首脳陣が一体となったカープ野球の展開に期待がかかる(今年の春季キャンプで撮影)

◆ベンチの姿勢を示した松山竜平への代走

 4月1日からの敵地での中日3連戦は3連敗を喫してしまいましたが、ミスをきっかけに崩れてしまうといった、流れが悪くなる嫌な負け方ではありませんでした。やるべき手を打っての敗戦なので仕方ないと思いますし、あまり悲観的にならなくてもいい連敗だと感じました。

 やるべき手を打つといえば、4月5日の巨人戦は素晴らしい試合運びでした。

 6回裏、勝ち越しタイムリーを放った松山竜平に代わり、代走に中村健人が送られました。そして、そのまま中村健がライトに入り、ライトの西川龍馬が、松山の守っていたレフトに守備変更。その結果、直後の7回表、坂本勇人の大きなフライを西川がナイスキャッチ。守備固めの采配が功を奏する結果となりました。

 3対1になった時点で、この点差で勝ちにいくんだというベンチの姿勢が見えた采配でした。もしかすると、昨年であれば、打力のある松山を変えずに、もっと得点を奪おうとしていたかもしれません。裏を返せば、これはリリーフ陣への信頼度が出てきた証でもあると思います。

 こういった采配以外にも、今シーズンは、“あのときにこうしておけばよかった”といったようなことがなく、開幕からここまで、良い判断で試合を進められていると思います。

 ベンチの考えと選手の戦い方がうまくマッチしているだけに、まだまだカープの勢いは続いていくのではないでしょうか。