3季連続で交流戦最下位と苦戦を強いられたカープ。交流戦で見えた課題や新たな収穫、さらにシーズン後半戦でのキーマンを、カープOB笘篠賢治氏が独自の目線で解説する。
(数字は全て6月16日現在)

西川龍馬の故障で空いた穴を埋める活躍を見せた野間峻祥(写真は2021年春季キャンプ)

◆交流戦で西川が離脱も、野間の活躍が収穫

 6月12日をもって、今季のカープ交流戦が終了しました。交流戦を貯金6という状況で迎えたものの、終わってみると残念ながら5勝13敗と大きく負け越し、2019年(2020年は交流戦中止)から3季連続して、交流戦最下位となりました。

 野手陣は思うように得点ができず、投手陣も点を取られてはいけないというプレッシャーからか、投打が噛み合わない悪循環であったと感じます。

 打撃面を見ると、菊池涼介、會澤翼、西川龍馬ら主力打者は、ボール球に手を出す場面もやや見受けられる印象があり、見極めが慎重になりすぎているように感じました。

 また5番を担うポイントゲッターの坂倉将吾は、相手チームから完全にマークされていました。このような状況の場合、本来であれば坂倉の前後の打者が重要になってくるのですが、彼らも抑えられてしまったことで、得点力が下がったのではないかと考えられます。

 交流戦中には主力である西川が故障で抜け、打線を組む上で厳しい状況となりましたが、この危機に野間峻祥が力を発揮しました。

 彼が1番に固定され、安打を量産して高打率を残すなど非常に良い働きを見せていました。その好調の要因は、上半身だけで振っているのではなく、体の重心が真下に下がり、下半身がしっかりしていることだと感じました。体重移動についてもブレることなく、球に入っていく形がしっかりとできていました。

 これまでは追い込まれてから、レフト方向を意識した打撃が目立っていたように感じましたが、レフト方向に打つイメージを持ちながらも引っ張りの打撃も展開するなど、対応力が良くなってきているように感じました。これは、手先だけのバッティングではなくなったという証拠だと感じます。

 そして今後さらに期待したいのは、4番を任され、徐々に打率を上げてきているマクブルームです。

 四球や安打でつなぐ意識の打撃を展開し、安定感を見せていますが、欲を言うならば長打も期待を寄せたいところです。彼の打撃を見ていると、変化球に対して非常に良い対応力を見せているように感じます。

 もうワンランク上の成績を残すためには、直球に対しての対応力を上げていけば、4番としての怖さがさらに増してくるのではないでしょうか。 投手陣が最小失点で抑え、マクブルームの一発でひっくり返すというような理想的な戦いの形が少しでも増えていけば、今後は優位な試合運びができると思います。後半戦は助っ人としてさらなる活躍を期待したいところです。