46勝46敗3分のセ・リーグ2位でオールスター休みを迎えたカープ。7月23日のヤクルト戦では22安打15得点を奪うなど調子を上げてきた打撃陣について、OBの笘篠賢治氏に語ってもらった。

7月の月間打率.301(7月24日時点)。7月に入って調子を上げてきた小園海斗。

◆打ちにいくまでの形の作り方は最高の見本

 各球団で新型コロナウイルスの陽性者が増加してる中、カープも一軍からターリー、マクブルーム、堂林翔太が感染し、チームを離れることになりました。3選手とも調子が良くなってきていたところでの痛い離脱となりましたが、オールスター休みを挟むところではあったので、復帰後の調整は大変だと思いますが、良い休養になったと前向きに捉えられるようにしたいですね。

 そんな状況ではありますが、勝ち越したかった9連戦を、雨天中止もありましたが、5勝3敗。そして、これまで1勝10敗と苦手にしていたヤクルト相手にも2勝1敗と勝ち越し。逆転勝ちも出始めて、後半戦に向けてチーム状態が上がってきました。

 巨人戦(7月15日〜17日)の3試合連続満塁本塁打、これが流れを変えるきっかけになったのではないでしょうか。2016年の鈴木誠也の3試合連続決勝弾のような、長いシーズンの中で良いことが起こる前兆みたいな感じがしましたよね。

 1戦目に打った磯村嘉孝は、一度二軍に落ちましたが、やはりベンチに置いておかないといけない選手です。以前もふれましたが、ヘッドの使い方がとても良くなっていて、さらに力強さも加わっています。

 2戦目の長野久義も打撃のキレが良くなっています。ファールの打ち方にしても、スイングがスパッと鋭いですよね。調子の良さがはっきりと見てとれます。秋山翔吾が入ってきて、より一層気合いが入っているのでないかと思います。

 3戦目の堂林は精神的な成長を感じました。ストレートを2球空振りして追い込まれたあとの一発。スイングごとに切り替えて、集中力を保っているからこそ打てた本塁打だったと思います。

 また、野間峻祥や小園海斗などの左打者の踏み込みが良くなったように見えます。これは“秋山効果”ではないでしょうか。打つときに体が開かない。しっかりと壁を作って、ボールを叩く。秋山は踏み込みすぎるくらいのところがありますからね。

 やはりシーズン最多安打記録を持つ「安打製造機」が入ってきたわけですから、若い選手たちは、どういう風に打っているのかを、練習で見たり、話を聞いたりしているのだと思います。打ちにいくまでの形の作り方は、最高の見本です。チーム内に生きた見本がいると良い効果が生まれます。さらに秋山自身も数字が上がってきましたからね。後半戦以降も期待したいです。