5年の節目で緒方孝市監督が辞任を表明。悲願の日本一は、後を継いだ佐々岡真司新監督に託された。

 球史に残る巻き返しを見せて勝負の8月決戦に突入したカープだが、結果的には13勝14敗で月間負け越しが決定した。9月も8勝10敗で貯金を伸ばせず、70勝70敗3分の4位でシーズンを終えることとなった。

 今季を象徴するようなフィニッシュだった。セ・リーグの今季の最大の特徴は、各チームともに連勝、連敗が目立ったことだろう。その最たるチームがカープで、大型連勝、大型連敗の影響をまともに受けながら激動のペナントレースを駆け抜けてきた。

 シーズンの終了が阪神の今季最多となる6連勝だったことも、今季のセ・リーグを象徴するフィナーレといえる。また終了直前でジョンソンが最優秀防御率のタイトルを逃したシーンも、“ここ一番”の試合を勝ち切れなかった今季のカープを見ているようだった。

 結果的に月間の勝ち越しは5月のみで、それ以外の月はいずれも負け越した。リーグ3連覇中のシーズン平均得点が約714点なのに対し、今季は591点。投打のバランスもさることながら、今季は明らかに打撃力の低下がチーム低迷の要因となった。

 4年ぶりのBクラスが決定した翌日、緒方監督が辞任を表明した。カープ一筋33年。選手時代に数々の記録を残し、監督としてリーグ3連覇を達成した赤き闘将が、静かにグラウンドに別れを告げた。