8月25日時点でリーグ2位の順位につけたサンフレッチェ広島。ルヴァン杯、天皇杯でも順調に勝ち進み、“4つ目の星”を手にするための一体感は日毎に増している。

 ここでは、サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏に、2022年7月中旬からのサンフレッチェを振り返りながら、注目選手やプレーなどを熱く語ってもらった。

 吉田氏が改めて重要だと語る、『FWに求められるマインド』とは……?(データは全て8月8日の取材時点)

今季はここまで7ゴールと、順調にキャリアハイを更新している森島司。

◆代表組の帰還がチームの刺激に! 首位を相手に雪辱の3発快勝も

 8月3日のルヴァン杯・横浜FM戦も非常に良い試合でした。

 横浜とは7月6日のリーグ戦以来の対戦でしたが、前回は3ー0と大敗しています。その横浜を相手にリベンジを果たすことができたという意味でも、非常に大きな1戦になったといえるでしょう。

 この試合では、EAFF Eー1サッカー選手権に日本代表として招集されていた選手たちの活躍も光りました。同点に追いつかれた場面で、満田誠のCKがこぼれたところをすかさず森島司が拾ってクロスを送り、最後は荒木隼人がヘディングで合わせて貴重な勝ち越し点を奪いました。試合を決定づけた、野津田岳人の3点目も非常に大きかったですね。

 7月30日のFC東京戦(●1ー2)では、ジュニオール・サントス(現在はボタフォゴFR(ブラジル)に期限付き移籍)がドリブルでボールを持ちすぎた結果、失点につながってしまったシーンもありました。非常にもったいない失点だと感じましたが、彼はストライカーです。あのまま相手陣内まで攻め込んでシュートを打ち、ゴールを決めていれば、試合のヒーローにもなれたのです。

 チームとしての戦術ももちろん大切ですが、前線の選手は、「俺が得点を決めるんだ」という強い気持ちを持ちながら、自分の役割を意識することも大切です。

 現在1トップを任されているナッシム・ベン・カリファやドウグラス・ヴィエイラも、チームのために非常に頑張ってくれています。

 ただ、彼らに求められる役割は「点を取ること」ですから、今後は1トップに入った選手がもっと得点をあげられるようになれば、より上位に向けて前進していけるのではないでしょうか。そういった意味でも、特にFWの選手には、数字の部分にもこだわってもらいたいと思います。

 そんなFC東京戦でしたが、得点シーンでは森島の素晴らしいゴールもありました。

 佐々木翔が相手から奪ったボールを中央に送ると、受けた森島はワンタッチで前を向いて豪快なミドルシュート。ゴールまでの距離を物ともせず、相手GKが伸ばした手の上を掠めるようにしてゴールネットを揺らしました。弾道、距離、角度。どれをとっても一級品のスーパーゴールでしたね。

 代表招集から帰還してきた選手たちがチームでもこうして活躍することは、周りにとっても良い刺激になっていくのではないでしょうか。