10月22日、『2022 JリーグYBCルヴァンカップ』決勝戦が国立競技場で行われ、サンフレッチェ広島が悲願の初優勝を成し遂げた。

カップアップの瞬間。中央でカップを掲げているのは青山敏弘(左)とキャプテン・佐々木翔(右)

 今大会、決勝戦に駒を進めたのは広島とC大阪。広島は8シーズンぶり、対するC大阪は2年連続のファイナル進出で、昨年は名古屋と対戦し準優勝に終わっている。

 広島が決勝の試合に臨むのは、10月16日の天皇杯(甲府、日産スタジアム)以来、約1週間ぶり。前回はPK戦の末に敗れ悔し涙を流しただけに、勝敗の行方に大きな注目が集まった。

 試合は、両チームともに互いの固い守備に阻まれ、決定機を決めきれないまま前半が終了。こう着状態が続くかに思われたが、後半8分、先に試合を動かしたのはC大阪だった。DF佐々木翔のバックパスをFW加藤陸次樹が奪うと、GK大迫敬介と1対1の状況に。そのまま大迫をかわしてボールをゴールに流し込み、C大阪が1-0と先制する。

 天皇杯決勝と同じく追う展開となった広島は、63分にはピエロス・ソティリウを投入し攻撃力を強めるものの、なかなか相手ゴールを割ることができない。

 79分にはナッシム・ベンカリファと接触したC大阪のDFマテイ・ヨニッチのプレーがレッドカードと判定され退場に。これで数的優位に立った広島は猛攻を仕掛けるが、後半も無得点のまま終了する。

 提示されたアディショナルタイムは9分。ここから広島の大逆転劇が始まった。

 まずはアディショナルタイム6分、満田誠が放ったCKをペナルティエリア内で競り合う中、ボールがDF鳥海晃司の手に当たりPKのチャンスを獲得する。これをソティリウが冷静に決めて土壇場で試合を振り出しに戻すと、さらにその直後のアディショナルタイム11分、再び満田のCKからソティリウがボレーシュートを決めついに勝ち越しに成功。

 試合終了間際、まさに今季のサンフレッチェを象徴する、全員が攻め手を緩めず攻撃に参加するスタイルが結実した瞬間だった。そのまま試合は終了。広島は、ついに悲願のカップ戦タイトルを手中に収めた。

ピエロス(写真右から4人目)決勝ゴールの瞬間

 広島はここまで3度のリーグ優勝を経験しているが、天皇杯・ナビスコ杯(ルヴァン杯の前身)では決勝進出するもののすべてが準優勝止まり。10月16日の天皇杯も準優勝に終わったが、ルヴァン杯優勝でついに “シルバーコレクター” の名を返上した。

 広島は、10月29日(土)にホーム最終戦(北海道コンサドーレ札幌)を控えている。