2019年・ドラフト1位。2020年・新人王。2021年・五輪金メダリスト。 プロ入り後、森下暢仁が歩んできたここまでの道のりは、常に輝かしい記録とともにあった。

 迎えた3年目の2022シーズン、先発陣で唯一ローテーションを守り抜き、2度目の二桁勝利をマーク。 球団の日本人投手としては23年ぶりとなる、2試合連続完封も成し遂げた。 最終登板を終えたばかりの右腕が語った、独占ロングインタビューをお届けする。
(取材は10月上旬に実施)

2022年は27試合に先発。3完投2完封を含む10勝8敗をマークし、HQS率ではリーグ1位に輝いた。

◆「ゲームをつくること」が 先発の役目。反省点も多かった1年

─まずは、2022シーズンお疲れ様でした。森下投手は今シーズン、先発陣の中で唯一、一度もローテーションから外れることなく27試合に登板されました。また、3完投・2完封という数字もプロ入り後の最多記録です。この1年間を振り返って、森下投手自身、手応えを感じる数字はありますか?

「僕自身、納得のいく数字というのは、特にないですね。27試合に先発させてもらいましたが、僕の中では『27試合投げて、10勝しかできなかった』という感覚もあります。なかなかそういう部分では、結果としても、よくなかったのではないかと思っています」

─開幕直前のインタビューでは、今シーズン貫き通したいこととして、「ローテーションを守り抜くこと」とお話されていました。有言実行となりましたが、先発ローテーションを守り抜くために、特にどのようなことを意識されましたか?

「一番意識していたのは、『ケガをしないこと』です。ケガなく1シーズンを投げ抜くために、トレーナーさんを始め、いろいろな方の力を借りながら、なんとか投げ切ることができました。決して自分だけの力で最後まで投げ切れたわけではないと思っているので、サポートしてくださった周りの方には本当に感謝をしています。そういう意味では、助けてもらった部分も大きいですし、なんとか自分でも、ケガをしないようにと意識してやっていました」

─今シーズンは、チーム最多の10勝もあげられました。二桁勝利はプロ1年目以来となりますが、開幕当初から、二桁勝利に対する意識はあったのでしょうか?

「シーズンを通して離脱せず、27試合を投げることができれば、10回は勝てるかなという思いもありました。ただ今は、『もう少し勝てたのではないか』という反省点の方が多いですね」

─8月9日・16日には、2試合連続完封も達成されました。やはり先発として登板する以上は、『完投』を意識するものでしょうか?

「もちろん、投げる試合は完投はしたいと思っていますし、それでチームが勝つのであれば、完投した方がいいのかなとも思っています。先発の役割では、『ゲームをつくる』ことが一番大切です。中継ぎの投手や抑えの投手に負担をかけるかどうかは、打線との兼ね合いの部分もありますから、僕自身はとにかく『7回以上を投げたい』という思いを持って、毎試合マウンドに向かっていました」

─近年の野球界では、先発・中継ぎ・クローザーと、投手それぞれの役割がはっきりしており、分業制が進んでいるように感じます。そんな中、2試合連続完封を達成されましたが、森下投手が長いイニングを投げ抜くために、スタミナ面の強化に関して意識されていることはありますか?  

「特にスタミナ面は意識していません。スタミナは投げているうちに自然と身についてくるものだと思いますし、とにかく、ケガなく投げ続けていれば、苦しい時でも乗り越えることができるのではないかと思っています」

もりした・まさと
1997年8月25日生、大分県出身
180cm/78kg/右投右打
大分商ー明治大ー広島 (2019年ドラフト1位)

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