2022年度 三井ゴールデングラブ賞が発表された。カープからは、二塁手部門で菊池涼介が、投手部門で森下暢仁が受賞。菊池は10年連続10度目の受賞となり、カープのレジェンド・山本浩二に並ぶ連続受賞記録となった。

 広島アスリートマガジンでは、これまで、菊池涼介の声をファンに届けるインタビューを掲載してきた。ここでは、2018年7月号『菊池の流儀。』に掲載したロングインタビューの一部を、再編集して掲載する。 

 高い守備力を武器に、日本球界最高のセカンドと評価され、 打っては不動の2番打者として、つなぎの打撃に徹し続ける。 攻守においてチームになくてはならない存在である菊池は、 さまざまな壁を乗り越えながら、年々進化を遂げてきた。 誰よりも熱い気持ちを持って戦い続ける男の、その流儀に迫る。

2022年度ゴールデン・グラブ賞 二塁手部門を受賞。10年連続受賞は山本浩二に並ぶリーグ記録となった。

◆自分が打てても、負ければ意味がない

─菊池選手は入団以来、主に梵英心選手(2012〜2014年)、田中選手(2015年〜)らと二遊間を組んでこられました。一軍デビューから組んできた梵選手とのコンビ、レギュラー定着からの田中選手とのコンビ、いろんな部分で違いはあるのでしょうか?

「やはり、梵さんも田中もコンビを組んでいて全く感覚は違います。二遊間を一緒に組む上で、ショートを守る選手も性格も動きも十人十色ですからね」

─一番大事になるのは、どのような部分なのでしょうか?

「もちろんコミュニケーションは大事になってきますが、年齢によって気を使う部分も実際のところ出てきますよね(苦笑)。プロに入って初めて二遊間を組ませていただいた梵さんの場合、「お前が行けるところは全部行ってくれ」と言っていただきました。だからこそ僕はガムシャラにプレーすることができました。田中と組むようになってからは同学年ですし、会話も増えましたね。動きでいうと、やはりゲッツーのときのスローイングやトスだったり、梵さんと田中ではスピードも動きも違いますし、それに合わせなければならない部分はあります」

─侍ジャパンでは坂本勇人選手(巨人)や今宮健太選手(ソフトバンク)と組む機会があります。

「代表チームではまた感覚が全く変わってきます。二遊間でもお互いに合わせる対応力があってこそ、違和感なくやっているようには見えていると思います。ですが、短期間でも慣れなければいけない細かな部分もありますね」

─今季、併殺数がリーグトップ(6月15日現在)です。二遊間での併殺において意識されていることはあるのでしょうか?

「特にこだわりみたいなものはありませんし、こなした併殺数が多いといっても僕だけの記録ではありませんからね。まず投手、ショートありきです。そこは二遊間だけではなく、投手も含めた共同作業になってくるので、それでたまたま僕がこなした数が多いというだけですね」

─菊池選手が守備をこなす上で、気持ち良い瞬間というのはあるのですか?

「正面のゴロ、ライナー、際どいプレーとかいろいろなシーンがありますが、特に気持ち良い瞬間というのはありません。やはり、当たり前のことを当たり前にこなすことが一番難しいと思って守っています。たまに「ヨッシャ!」と吠えたりする場面があるかもしれませんが、特に気持ち良いと思うプレーはなくて、とにかく平常心が大事かと思います」

─打者によって守備位置を変えられていますが、どのような意識なのですか?

「やはり投手が投げる球種によって、打球方向も変わりますからね。構えたところにくる可能性も分からないので、予想が外れることもあるし、当たることもあります。それも経験だし、その積み重ねで今やっている感じですね。100%成功というのは全くありません。補殺数のことをよく言われることがありますが、やっぱり投手が投げてくれないと補殺もできませんからね。それも投手のタイプによってゴロが増えるということもあります。いわば補殺数が多かったシーズンはゴロを打たせるのが上手い投手が多かったとも言えると思います。本当に僕だけではなく投手との共同作業だと思っています」

─ここまで失策数0という素晴らしい数字です(6月15日現在)。この数はやはり意識するところですか?

「もちろん失策0でシーズンを終えることが究極ですが、攻めなかったらアウトにならないプレーも絶対にありますし、エラーを怖がって守備はしていません。やはり守備は積み重ねなんでね。数字を見れば今のところは順調かなと思います」

─ゴールデン・グラブ賞を今季受賞すると球団最多、リーグ最多の6年連続(当時)となります。やはり目標とする賞ですか?

「こればかりは獲りたいと思って受賞できるものではないと思っています。これも積み重ねだと思いますし、結局シーズンが終わったときにどうだったのか、あとは印象や成績だったりで記者の方々の投票もありますから。自分の中での目標として置いていますが、143試合を終えてどうだったか? その結果ですよ。オフにいただけたらもちろんうれしいですが、シーズン中からそれを意識してしまったら、全然違うプレーになっていると思います。やっぱり普段通りのプレーを続けた結果、受賞できれば、自分へのご褒美ではないですけど、良かったなと思う瞬間です。とにかく、守備は積み重ねですよ」

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