新井貴浩新監督のもと、新たなチーム人事が発表された。2015年に新井監督とともに広島に復帰し、チームを25年ぶりのリーグ優勝へと導いたOB・黒田博樹氏の球団アドバイザー就任である。

 1996年にドラフト2位(逆指名)で入団した黒田氏は、2008年にドジャースへ移籍すると、以降、2014年までMLBで活躍。2015年の広島復帰は、日本のみならず大リーグ関係者からも大きな注目を集めた。

 これまで広島アスリートマガジンでは、数々の黒田氏独占インタビューを掲載してきた。今回はメジャー移籍2年目オフのインタビューをお送りする。

 メジャー2年目となった2010年、開幕投手を務めたものの、左脇腹の負傷、そして頭部への打球直撃など故障に悩まされた。黒田がチームを去った2007年限りでユニホームを脱ぎ、当時野球解説者として活動していた佐々岡真司氏との対談では、ドジャース契約最終年を迎える身として、カープ復帰にまつわる率直な思いを語っていた。

2010年、カープのエースを務めた者同士の特別対談で撮影された1枚

言葉やボールの違い。今なお続く試行錯誤

佐々岡 クロ(黒田)の投球を見ていると、基本的には横の揺さぶりでシュート系が多かった印象があるね。

黒田 フォークが使えれば、もっと良かったんでしょうけどね。ボールの感覚の違いでフォークが落ちなかったりすっぽ抜けたりして思うように使えなかったんです。それがシーズンでしんどかった理由だと思います。まぁ佐々岡さんのようなカーブが投げられればいいんですけど、カーブに関してはセンスがないので(笑)でもチェンジアップやカーブなどを投げて緩急をつけたいとは思っているので、いろいろトライしていきたいと思います。

佐々岡 新たな球種を増やそうという考えはある?

黒田 何か新しい球種を覚えられれば、(投球の幅も)広がるかなと思います。ただ、09年のシーズンで苦しかったのは、スライダーの曲がりが早く大きくなってしまったからというのもあったんです。そういう面ではスライダーを良くしていかないといけないという思いもあります。

佐々岡 2009年は史上3人目となる日本人開幕投手となったけど。

黒田 自分の中ではもっといろんなプレッシャーを感じて緊張するのかなと思っていたんですけど、カープで何回かやらせてもらっているからか、そこまでプレッシャーを感じずに入っていけたんじゃないかなと思います。

佐々岡 厚い信頼を寄せてくれているトーリ監督はどんな人?

黒田 見た目もそうなんですけど、迫力がある人。でも怖そうな印象を受けますが、僕ら日本人に日本語で話しかけてくれるなど気を遣ってくれる人ですし、采配ひとつとってもベンチで見ていてすごく勉強になる監督だと思います。

佐々岡 自分も喋ったことがあるけど、オーラがあるというか。怖い顔をしているんだけど、話していたら本当に優しい人で、テレビで見るイメージとは全然違うなと感じた。ただ信頼してくれた監督だったからこそ、期待に応えられなかった分、悔しさもあったんじゃないかなと思う。

黒田 そうですね。特にプレーオフ前にケガをしてディビジョンシリーズで投げられなくて。それでリーグチャンピオンシップにぶっつけ本番の覚悟で投げるつもりで、アリゾナで調整登板していたら、わざわざプライベートジェットで来てくれましたからね。それでも期待に応えられなくて(リーグチャンピオンシップ第3戦に登板も2回途中6失点で敗戦)残念でしたけど、この監督のために何とかしたいなと強く意気に感じさせてくれる方だと思います。