エイジェック硬式野球部は、「第97回都市対抗野球大会」に2年ぶり3度目の出場を決めた。采配を揮ったのは、トヨタ自動車野球部監督時代に「日本選手権連覇」を達成した山中繁監督。今年1月にエイジェック硬式野球部監督に就任後、北関東予選を全勝して第1代表として本大会に臨む。山中監督に現在の心境を聞いた。

エイジェック硬式野球部を率いる山中繁監督

―都市対抗野球大会の北関東大会を振り返っていただけますか。

「僅差の試合が多くて、このような接戦になることは覚悟していましたが、準決勝、決勝はサヨナラ試合でした。これまでサヨナラ試合はあまり経験してこなかったので、胃に穴が開くような気持ちになりましたね」

― 昨年出場があまりなかった選手が多く起用されている印象です。

「春先の静岡、日立、新潟あたりで、失敗してもいいからどんどん使って、選手に経験を積ませてきました。これまでの成績はあくまでも参考程度にして、これから目指す野球に対して、誰が力を発揮してくれるのかを見極めてきました。
 とにかくエイジェックのユニフォームを着る34名の選手が、それぞれどんな力が発揮できるのか。先発だけが全てじゃなくて、今回も途中から代打で出た選手がいい仕事をしてくれましたし、そういう意識づけは普段から行っていました。
 例えばベテラン、安藤(幸太郎=投手)には、ワンアウト満塁の場面に『お前を使う時が来た、しっかり仕事をしてくれ』と送り出し、ホームゲッツーでピンチを切り抜けてくれました。大事な場面が来たら使うから、その時が来たら力を発揮できるようにと、練習時からシーンを想定して取り組んでもらっています。
 代打で出るバッターには、気持ちよくバッティングの練習をするんじゃなくて、ツーアウト、ランナー二塁三塁で一点負けているシーンをイメージして、長打だったら逆転できるし、ワンヒットだったら同点というシチュエーションを想定しながら、一球一球を打ちなさいよと。気持ちよく打つのは全体練習が終わって、個人練習でやればいいんです。練習でコーチが投げる球をヒットできなかったら、試合の球なんか絶対にヒットにできませんから。
 大会前にしっかり準備したので、代打で出てくれた選手、代走で出てくれた選手もいい仕事をしてくれました。先発の選手だけじゃなくて、全員で勝ち取ってくれたのかなと思います。
 選手はみんな自分が一番だと思っていますから、なんで試合に出られないのか、何が足らないのか、それをしっかり話して練習でそこを補っていく。そういったことで選手の技術力を上げていってほしいと思います。その辺は山足コーチもプロの厳しい世界でやってきましたので、重々承知の上でうまく選手をおだてたり、時には厳しいことを言って突き放したりやってくれています。なかなかいいコーチングですよ。和田コーチも、それから梅田コーチも本当にバランスが取れていて、いいコーチです」

― 補強選手についてですが、SUBARUから八野田龍司投手、日立から宮慎太朗内野手と金原塁内野手が選定されていますが、その選定理由は何でしょう。

「補強選手は全てコーチに任せています。ただ、エイジェックの打線は左バッターばかりなので、まあポツリと『右バッター欲しいよな』って言ったくらいです。それはコーチも同じことを思っていますね。
 SUBARUの八野田選手は、ウチにはいないタイプのピッチャーですし、日立の宮選手は、エイジェック野手の中で最年長になりますから、リーダーシップにも期待しています。
金原選手は、うちの恋田(孝一朗)、和田(泰征)、櫻内(俊太)らと同期ですから、チーム内で競い合ってくれればいいなと思いますね」

―本大会初戦の相手が沖縄電ですが、印象はいかがですか。

「九州は激戦区です。あれだけの強い企業チームがある中で、2チームしか出られない枠の第一代表を取っていますからね。野原毅監督が復帰されて、なかなか気合の入った方です。強敵だなという印象はありますね。JR九州さんから投手を2名補強していますし、手ごわいと思います。本大会では補強選手が入ってチームがガラリと変わりますから、前評判とは全然違う戦いをするチームが大半なんですよ」

―あらためて、監督にとって都市対抗野球大会とはどんな大会でしょう。

「社会人野球の一大イベントで、一番お客さんが入ってくれる大会です。どこの企業もそうですが、社員の方が頑張って仕事に従事してくれて、利益を生み出して、その利益で野球をやらせてもらっている。なので、一試合でも多く戦って勝ち抜くことが、普段仕事で頑張っていただいている皆さんへの恩返しになると思います。
 都市対抗ですから、応援していただいている小山市の皆さんにも感動していただけるような試合をやりたいですね。ぜひ一人でも多くの方に球場へ足を運んでいただいて、あの熱気あふれる球場で、選手たちの背中を押していただきたいです」

■山中 繁(やまなか・しげる)
1963年生、大阪府出身
興國高校―同志社大学―トヨタ自動車(1986〜1991年)
トヨタ自動車野球部 監督(2006〜2008年)
エイジェック硬式野球部 監督(2026年~)