◆劇的決勝弾を決めた、元・サンフレッチェ広島 浅野拓磨

 ドイツ戦というと、浅野拓磨(元・サンフレッチェ広島、現・VfLボーフム)の存在も大きかったですね。投入されたタイミングや決勝弾を決めたことも含めて、サンフレッチェファンにとっては本当に特別な試合になりました。

広島時代の浅野拓磨。加入当時の背番号は29、のちに10に変更された。

 浅野は召集前にケガをしたこともあり、選ぶ・選ばないという議論のあった選手です。そんな中でも、総合的な判断のもと『大丈夫だ』ということで招集されたのだと思いますが、やはり、この大舞台で期待に応えてくれました。

 オーストラリア戦(2021年10月12日・埼玉スタジアム、◯2-1)でも、途中出場した浅野が、苦しいタイミングでチームを勝利に導いてくれています(浅野のシュートが相手のオウンゴールを誘って決勝点となる)。こうした浅野の活躍は、サンフレッチェ時代からの森保監督との関係性を知っているからこそ、余計にぐっとくるものがありました。

 見ている私たちには計り知れない、2人にしか分からない関係性というものがあるのかもしれませんね。

 さて今大会、日本代表は“ベスト8”を目指して戦い、惜しくも目前で敗れてしまいましたが、グループステージでの戦いには日本中が熱狂し、感動しました。

 ここまで来ることができたのは、もちろん選手の頑張りもありますが、ここにいたるまでの4年間で積み上げてきたものもあったのだと思います。森保監督は、東京五輪でも代表監督としてずっとチームと選手を見てきていますし、その積み重ねで信頼関係もできているはずです。カタール大会では采配も見事にはまっていましたが、ここまでの積み重ねが、集大成として出ているようにも感じられました。

 森保監督は、1993年にカタールで行われたW杯アメリカ大会アジア最終予選で『ドーハの悲劇』を経験した選手の1人でもあります。その地で『ドーハの歓喜』と言われる輪の中心に森保監督がいる姿を見ると、運命的なものを感じましたね。

 『持っている人』という表現がありますが、『なるべくして、そうなっている』という意味では、森保監督はまさに、『持っている人』なのかもしれません。

広島アスリートマガジン12月号は、『恩師と選手が語る新指揮官の魅力』を大特集。 新井貴浩監督の話をしよう。ルヴァン杯で悲願の優勝を遂げたサンフレッチェ広島の記事も満載です!