12月19日未明、決勝戦が行われたW杯カタール大会。連覇をかけ臨んだフランスと、3度目の優勝を目指すアルゼンチンが対戦し、PK戦の末、アルゼンチンが36年ぶりのW杯優勝を手にした。今大会、吉田麻也、三苫薫、田中碧ら世界で活躍するプレーヤーが集まるチームを束ねたのが、2018年から日本代表の指揮を執る森保一監督だ。

 森保監督はサンフレッチェ広島の前身であるマツダ時代から選手としてクラブに所属し、日本代表としても活躍。1993年にはW杯アメリカ大会予選時に“ドーハの悲劇”も経験している。現役引退後はサンフレッチェ広島監督としてクラブを3度の優勝に導くなど、指導者として着実にキャリアを積んできた。

 ここではサンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏が、日本全国を興奮させた森保JAPANについて、独自の目線で解説していく。

2022年7月1日に広島市内で行われた激励会で、取材に応える森保一監督。

◆強豪・ドイツ、スペインを撃破し『死の組』を首位突破!

 12月2日28時、W杯グループステージ第3戦のスペイン戦が行われました。日本時間では未明の試合となりましたが、ご覧になったみなさんも多かったのではないでしょうか。

 今大会で日本はドイツ、スペイン、コスタリカと同じグループEに入りました。W杯優勝経験国が2カ国同組で、『死の組』とも呼ばれましたが、蓋を開けてみれば日本が1位通過。特に初戦のドイツ戦、そして3戦目のスペイン戦は非常にしびれました。

 森保ジャパンは、指揮を執る監督はもちろん、ベンチにもサンフレッチェでコーチ経験のある顔ぶれがたくさん見られました。システムや試合展開も含めて、まるでサンフレッチェのサッカーを見ているように感じた方もいたかもしれません。1点を取られても我慢し切れるというあたりも、サンフレッチェを彷彿とさせました。スペイン戦も1点を先制されてしまいましたが、吉田麻也(シャルケ)を始め、選手たちが非常に落ち着いていましたね。

 サンフレッチェを応援する身としては、日本代表を応援する気持ちはもちろんのこと、『森保一を応援したい』という気持ちも非常に大きかったのが、カタール大会の感想でもありました。代表監督就任後、批判されている姿も見てきましたから、余計に応援にも力が入ります。

 私がテレビ番組で共演している野村謙二郎さん(プロ野球・元広島東洋カープ)ともよく連絡を取り合っているのですが、野村さんも森保監督を応援する1人。試合の前日には、必ずメールを送って激励しているそうです。

 アジア最終予選・オーストラリア戦前にもメールを送り、グループステージのドイツ戦前にも送ったそうで、『今回も、ドイツ戦の前にメールを送ったから勝ったんだよ』と話していましたね(笑)。