新井貴浩新監督が就任したカープ。秋季キャンプでは新任コーチたちの熱心な指導がクローズアップされていた。今回は4人の新任コーチについてカープOBの笘篠氏が独自の見解を語る。

(本文中のデータはすべて12月8日の取材時点)

就任会見で、「“機動力”というのはずっと引き継がれており、これからもずっと引き継いでいくものだと思っています」と語った福地コーチ。

選手にとって新鮮な新任コーチたちの指導

 秋季キャンプを終え、選手たちもオフシーズンに突入しました。体を休める期間ではありますが、オフは選手たちにとって大変重要な期間でもあり、2月に始まる春季キャンプではすぐに紅白戦など実戦も待っています。野手陣でいうと打撃感覚は“生き物”と言うだけあり、オフに休むことで秋季キャンプにつかんだ良い感触が、ズレてくる傾向があります。ですので空いた時間を利用して、極力バットを振っておいてほしいです。来季に向け、勝負は始まっているので、オンオフの切り替えを考えて過ごしてほしいものです。

 さて、ここからは秋季キャンプから指導を始めた新任コーチについて触れていきます。まずは新井良太二軍打撃コーチですが、新井監督の実弟だけに、来季はスムースな情報交換が期待されますね。私の兄(元西武・笘篠誠治)とは同時期にプロ野球の世界でプレーしましたし、引退後はお互いにコーチも経験しましたが、兄弟の野球観は共通している部分が多々あります。基本的に兄を見て育っていて、兄がやってきたことを学生時代から学び、酸いも甘いも知っています。そう考えると新井貴浩監督と新井良太コーチの野球に対する考え、技術などは自然と似てくる部分もあるのではないかと思います。

 兄がコーチ時代に、私は解説者としての立場、弟の距離感で助言したこともあります。最終的な判断はもちろん本人がすることですが、兄弟だからこそ、意見しやすい部分もあるのではないかと思います。新井良太コーチは二軍打撃コーチとして若手の底上げを図り、兄である監督と密な情報交換を行うと思いますが、新井監督としては野球観が近い弟が二軍にいるのは、心強いでしょうね。

 また新任の藤井彰人ヘッドコーチはよく“一方通行はだめだ”と言っています。実際にグラウンドに立ってプレーするのは選手です。選手が良いパフォーマンスを発揮するために、さまざまな部分で気づいてあげるというのがコーチの仕事です。そう考えると、意見の押し付けではなく選手と密な対話を図った上で意見交換しながら指導していくスタイルというのは素晴らしいと思います。

 そして来季、戦っていく上で重要となるのがチームの課題でもある、盗塁阻止率です。歴代コーチがいろいろなことを指導してきたと思いますが、選手の立場からすれば藤井ヘッドコーチ、さらに石原慶幸一軍バッテリーコーチからの教えを新鮮に感じているのではないでしょうか。これまでカープにない観点も含めて、藤井ヘッドコーチ、石原コーチの捕手陣に対する指導は今後どのような効果が出るかが楽しみですね。

 そしてカープの伝統である〝機動力野球の復活〟で期待されるのが福地寿樹二軍打撃兼走塁コーチです。就任会見時、福地コーチから「カープの伝統を……」という言葉が出ましたが、彼が若手時代を過ごしたカープ時代、徹底的に走塁意識を叩き込まれ、移籍後は盗塁王を獲得するなど機動力を武器に結果を残してきました。秋季キャンプではその経験を早速伝えているでしょうし、選手の走塁意識がいかに変化するかが楽しみです。

 来季は新井新監督の下、良い意味で雰囲気も変わり、新任コーチ陣が新しい風を吹かせることで、野手陣がレベルアップすることを期待したいですね。

広島アスリートマガジン1月号は、新井新監督特集第3弾『新井貴浩監督の“全力”所信表明』!新監督を支える選手・コーチ陣インタビューも必見です。オンラインショップからのご購入なら、A3表紙ポスター付き!